内容説明
妖怪を信じる日本人を恐怖から解放した井上円了、畏怖から日本固有の民俗をさぐった柳田国男、二人の天才の、まったく異なる妖怪学。
目次
第1章 井上円了はいかに妖怪博士となったか
第2章 哲学館の創立と「妖怪学」講義
第3章 妖怪学とはなにか
第4章 もうひとつの妖怪考 柳田国男
第5章 柳田国男の妖怪学
第6章 日本人はなぜ妖怪が好きなのか
著者等紹介
三浦節夫[ミウラセツオ]
1952年生まれ。東洋大学大学院博士後期課程修了。東洋大学ライフデザイン学部教授・井上円了記念学術センター研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ワッピー
24
図書館の企画棚で目が合いました。科学的な思考を日本に根付かせて迷信を撲滅しようとしたものの、世間にはおばけ博士として知れ渡ってしまった井上円了の生涯と思想を取り上げ、同時代の民俗学の祖・柳田国男の妖怪考察と円了批判を紹介しつつ、現代の妖怪ブームにも迫ろうという野心的な視点を謳った論考。妖怪ラノベでも紹介されていた円了の妖怪分類図は興味深く、近代妖怪研究を概観するには非常に手ごろな一冊でした。とはいえ、表題に対応する章はなく、最終章がなぜか「日本人はなぜ妖怪が好きなのか」にすり替わっているのは誤怪なのか?2025/05/29
tomi
3
東洋大学の創設者で「妖怪学」の大家井上円了の生涯と学説を、円了を批判したもう一人の大家、柳田国男とともにわかりやすく書かれている。ただ、このタイトルは内容と合っていないし、〈なぜ~のか〉というのも安易すぎ!2012/07/28
nob
2
本書は3つの内容を持つ。1.真理を愛する立場から妖怪学を創始した、東洋大学の創立者・井上円了の足跡。対して2.民俗学の立場からの柳田國男の妖怪研究。そして3.著者自身による現代妖怪ブーム分析。宗教からは距離を置くが超自然的なものには興味を持つ、という日本人の傾向が「妖怪に魅かれる」ことに関連して触れられる。内容自体は興味深いのだけど、1と2が3に直リンクしていない(著者自身の分析が先駆者二人の研究となんの関連性もなく語られる)ので、読み終えて、本書は結局何が言いたかったんだろう?と思ってしまった。2019/08/04
krnkn-fa
2
必要に迫られて読んだ(趣味半分)。近代化を目指す明治時代の日本。そこに昔から息づく妖怪を科学的に説明しようとした井上円了の奮闘ぶりが伝わってきた。必死だったのかな。妖怪の類は信じる信じない、ではなく「いてほしいな」と思うのだか。長岡藩の精神も受け継いでいるのかな。ブームの火付け役、もっと名が知れてもいい。2013/07/18
しろきいろ
1
図書館。タイトルや表紙のデザインと合ってないような。。淡々と客観的事実が述べられてて教科書のよう。すでに井上円了について興味があってどんな人生を歩んだのか何を残したのか知りたい人にはとても向いている本。勝海舟とも交流のあった人なんだなぁ。2016/09/10