感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Die-Go
42
図書館本。読んだのは文庫ではなく単行本。坂本竜馬を斬った男として名高い今井信郎の孫が書いた評伝。複雑怪奇を極める坂本竜馬暗殺事件だが、様々な資料や伝聞からその真実に迫る。そして、それだけに終わらず、今井信郎の生涯そのものにもスポットを当てている。漢文調の文章が多く、難儀した。★★★☆☆2018/08/27
AICHAN
35
図書館本。坂本龍馬を斬ったのは幕府見廻組の今井信郎たちだというのは今では定説に近くなっている。明治になって今井がそう告白したのだ。しかし、今井の告白と龍馬が襲われた状況に多少のズレや無理、または不可解な部分がある。だから今井が嘘を言ったのではないかと考える人もいる。それでこの本を借りてみた。この本は今井信郎の孫が祖父・信郎の事績を書いただけのものだが、龍馬襲撃についてもかなり詳しく書いている。その部分は非常に興味深かった。なぜ「多少のズレや無理、または不可解な部分」があるのか、やや納得できた。2018/08/08
国士舘大学そっくりおじさん・寺
13
見廻組今井信郎の孫による伝記。案外面白い。文章は昭和っぽい軽さ。龍馬暗殺推理は菊地明や磯田道史が解明しているので古くなっている。面白いのは信郎本人の伝記。都会人で少年時は餓鬼大将で文武両道(龍馬と正反対)。旗本とは言え家系に豪農が混じるのは近藤土方同様。暗殺後は五稜郭、学校創設、キリスト教入信と、いかにもあの時代に翻弄された人生。西郷との交流はあくまでも家伝口伝なので確証は無い。龍馬を殺しておいて勝海舟に会うグロテスクさ。怪人物には違いない。2012/05/26
紫
6
昭和五十八年刊行本の文庫オチ。すでに三十年以上前の本だと思ってお読みください。てっきり今井信郎の伝記なのかと読んでみたところ……ところがどっこい、近江屋事件=坂本龍馬暗殺事件の検証本でした! といっても、事実の確認がとても杜撰で、自分の結論が先にあって都合がよいようにお話を作ってしまっている感じなのですね。大石鍬次郎が捕縛後三日で斬首されたなんて話は嘘ですから! あまりに事実とは異なる記述が多いため、ひょっとして三十年前はこれが幕末研究の水準だったのかしらんと疑いたくなってくるくらいであります。星3つ。2017/07/04
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇵🇸🇾🇪🇱🇧🇨🇺
5
原著は1983年、文庫化は2009年。坂本龍馬を切った男、今井伸郎の孫が書く、祖父の伝記物語。龍馬暗殺事件はもちろん言及があるが、その前後もそこそこあり、幕臣達の幕末から戦後にかけての暮らしが分かる。 その暗殺事件に関しては、そもそもの見廻組の指揮命令系統がはっきりせず、その後の現場での証言も後世の創作と思しき記述がいくつもあり、明瞭さを欠く。しかも後日今井が逮捕された際も事実上の無罪であり、妄想を掻き立てられる。→続く 2021/03/29