内容説明
嘉吉三年(一四四三)九月二十三日の夜半、京の内裏に乱入した南朝の残党らに奪われた神璽は、遠く吉野の山中に持ち去られた―。その二年前の嘉吉元年六月二十四日、将軍義教を自邸の祝宴に招いて謀殺した嘉吉の変で、主家を滅ぼされ浪々の身となっていた赤松家の旧臣たちは、この神璽を奪還することで主家再興と旧領回復を企てる。赤松家滅亡から十五年、周到に計画をめぐらせた小寺藤兵衛、間島彦太郎らの遺臣二十人は、南朝の御座所をめざし吉野に潜入した…。播磨の名族赤松家の再興を期した遺臣らの忍従と苦難の闘いを活写した歴史巨篇。
著者等紹介
岩井三四二[イワイミヨジ]
1958年、岐阜県生まれ。一橋大学経済学部卒。東京芝浦電気(現・東芝)を経て作家活動に入る。1996年『一所懸命』で第64回小説現代新人賞、1998年『簒奪者』で第5回歴史群像大賞、2003年『月ノ浦惣庄公事置書』で第10回松本清張賞、2004年『村を助くは誰ぞ』で第28回歴史文学賞、2008年『清佑、ただいま在庄』で第14回中山義秀文学賞をそれぞれ受賞。2005年『十楽の夢』で第132回直木賞候補(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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けやき
4
6代将軍・足利義教を討った赤松家の後日譚。 将軍を謀殺したが、赤松家は幕府に攻められ、滅亡。 そんな中、南朝の残党が神璽(三種の神器の一つ)を奪う「禁闕の変」が起こる。 赤松家の遺臣たちは神璽を奪還し、手柄を立て、主家を再興するのだった。 17年の歳月が流れていた。 岡田秀文の「魔将軍」と義教の描き方は違うけど、本書のように悪御所ってのが一般的だろうな~。 しかし浪人はつらい。 主家再興もなるかと何度も危機を迎えるけど、17年の後にやっとこさ実現。 まだまだ赤松家の戦いは続くようでしたが…。2009/10/24
ききぞう
2
大変面白かっです。 嘉吉の乱から長禄の変までとかなりマイナーなところが舞台ですが、一連の時代背景に詳しくない方でも楽しめると思います。 後南朝側にももう少しスポットが当たるような展開であればもっと良かったかなと思います。2023/12/07
マサ
2
合戦の様相を描いた話はよくあるが、これは合戦に敗れた者たちのその後を描いていて興味深かった。赤松の残党のキャラクターが生き生きとイメージすることができて、その考え方や行動に感情移入しながら読むことができた。面白かった。2019/10/12
9rikaz00
1
将軍義教が赤松氏に討たれたことと、戦国時代に赤松氏が登場してくることは知っていた。しかし、その間に主家の再興を賭けて、まさかこんな小説みたいな冒険活劇が繰り広げられていたなんて知らなかった。まだまだおもしろい話はたくさんあるようだ。2017/05/12
えびえび
1
お家復興のお話です。嘉吉の乱の経緯はかなりややこしいのですが、赤松家臣の視点に重点を置き敗走の様子を語るようになってるので混乱することは無いと思います。吉野潜入が最大の山場ですが、凄惨な描写の1期に比べ、2期があっさりしすぎていて拍子抜けです。2013/03/01