内容説明
江戸が東京と改まった明治の世。幕府の崩壊で二十三年間の幽囚の身を解かれ、文明開化のすすむ東京に舞いもどった男がいた。かつて幕府の要人として江戸市民から「妖怪」と恐れられた洋風嫌いのその老人が、密かにたくらんだ奇想天外な一件とは…。歴史文学賞受賞のデビュー作「黒牛と妖怪」、黒船撃退に破天荒な戦法でのりだした長屋住人の騒ぎを描く「新兵衛の攘夷」ほか、「檻の中」「秘伝 阿呆剣」「爺」の五篇を収録。
著者等紹介
風野真知雄[カゼノマチオ]
1951年、福島県生まれ。立教大学法学部卒業。1993年、「黒牛と妖怪」で第17回歴史文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mapion
42
他の作者で似たようなものは書かれていないはず。どれも歴史的事実に関わりなく、作者の奇想から出来上がった物語。『黒牛と妖怪』明治初期、妖怪と称された元江戸南町奉行鳥居耀蔵が、時代が見えぬまま己が思いで突っ走る。『新兵衛の攘夷』黒船と浪人と長屋の住人。落語のような話。『檻の中』勝海舟の父小吉が座敷牢に込められたまま悪さをする。『秘伝阿呆剣』秘剣なんです、強いんです。『爺』信長の守役平手政秀が腹を切る。理由は息子と信長の不仲では無かった、実は・・・。いずれもユーモア溢れる書きようで、気軽に楽しめます。2025/04/11
はま
26
風野さんデビュー作。5篇の短編集。短編もイケるじゃないか風野さん!妖怪こと鳥居耀蔵の晩年を描いた表題作も、その他四編もどれも楽しく読めました。ただどうしても「妻は、くノ一」の鳥居のイメージが邪魔して余計に面白かったり(笑)2013/10/13
まるる
19
『妻はくノ一』の憎めないバカキャラ鳥居の晩年を書いたデビュー作と聞いて読んでみた。あとがきに「歴史の知識もないまま時代小説を書いた」とあってビックリ!だから時代小説の枠にとらわれないような自由な作風なのかと納得。勝小吉さんのお話が一番好き♪2013/05/22
こおり
11
短編5作品 江戸の人々から「妖怪」と呼ばれ嫌われていた元南町奉行 鳥居耀蔵の晩年を描いた「黒牛と妖怪」。すげえ嫌な爺さんっぷりがてんこもりだったけど、何ていうか風野さんの愛情みたいなものも感じたなあ。これがデビュー作なのね。 どのお話しも良かったけど、私は「爺」が一番好きだな。これは若かりし頃の信長と教育係の爺(平手政秀)のお話し。爺と若… 若さま同心の竜之助さまを思い出すわあ。爺と若萌えなのかしら、私。2013/11/04
一五
9
初期作5話の短編集。まぁまぁだな、面白味が まだない2025/03/19