内容説明
飛鳥時代、大化の革命による世界で初めての社会主義国家の樹立。白村江(韓国)での敗戦により唐(中国)に占領された日本。「悪行の聖者 聖徳太子」に続く古代史ロマンの傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Ryuji
2
★★★★★下巻は壬申の乱で大海人皇子が大友皇子に勝利し、 天皇に即位(天武天皇)するまで。上巻では兄・中大兄皇子の冷酷さにちょっと引いていた部分もあった大海人皇子であったが下巻では自身もかなり冷酷になっていく。私の中で「大化の改新」は天皇を頂点とした中央集権体制を目指した日本で初めての革命というイメージであったが、この本では中央集権体制というより社会主義革命という感じ。この時代は史料が少ないので、小説にするには難しいところもあると思うが逆に著者の自由度が高い時代なのかもしれない。面白かった。2017/02/18
MrO
1
壬申の乱は、最後にちょこっと触れるにとどまる。大兄皇子、大海人皇子がまったくことなる社会体制を築こうとしていたとする見方が面白い。日本が唐に占領されていたとするのは説得力がある。一般庶民の2人が生き残り、そこそこの幸せを手に入れたとする終わり方に救われる。2021/06/07
うめけろ
1
本当に面白かったです。天皇が不在の期間があったことも、唐に占領されていた時代があったことも知りませんでしたが、歴史を物語として勉強することができました。何よりも驚いたのは、そんな昔にすべての民が平等であるという考えをもって、それを推し進めるような人がいたことです。戦略的には極端な改革なので賛否両論があるかとは思いますが、遠い昔の時代の話なので、そうでもしなければいけなかったのかも知れません。とにかく、オススメ。2013/04/05
dolce-vita
0
大ファンの大海人皇子の視点で、大化の改新から天皇になるまでが語られる。この時代の解釈が自分と違いすぎて、そういう意味では、うーん。でも斉明天皇が重祚した経緯は、すっと腑に落ちるカンジで、「ある」かも。あの親子に確執があったって想定したことなかったけど、なるほど。他にも自分と違った新しい観点がたくさんあって刺激的でした。この時代は史料がなさすぎていろいろ想像できるのが楽しい。2016/09/10
うづき
0
仕方がないこととはいえ、大海人皇子中心になっていたのが残念でした。外交戦略にぞくぞくしました。大敗することも計画のうちだなんて。第二次大戦を題材にしたものではよく見かけますが、ここでこうくるとは。古代がますます楽しくなります。2010/10/19