内容説明
野を駆ける戦士から統治者へ、武士はいかに変貌を遂げ、列島の王となったのか。自ら地域を支配しそこに生きる人びとを統治する武家の王権を通して列島の天皇、国家を考える。
目次
序章 武門の覇者の類型
第1章 東国武士の肖像
第2章 幕府草創
第3章 競争者たち
第4章 承久の乱
第5章 北条氏政権の骨格
第6章 幕府内の断裂
第7章 争乱が指し示す行方
第8章 北条氏政権の終焉
終章 武門の覇者と国家像
著者等紹介
本郷和人[ホンゴウカズト]
東京大学史料編纂所助教授。1960年東京に生まれる。東京大学・同大学院で石井進氏・五味文彦氏に師事し、日本中世史を学ぶ。卒業論文では高野山をテーマに取り上げるも、宗教史の難しさに辟易し、修士論文では朝廷の制度史に取り組む。1988年、東京大学史料編纂所に入所。現在は、大日本史料第五編を担当。中世政治史、古文書学を専攻する。また最近は、昔から愛好していた歴史的人物を科学的な脈絡の中で捉え直す、「新しい人物史」の構築に興味を持っている
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感想・レビュー
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ma3
1
著者がこの10年間の著書で主張している歴史的視座のベースがここに。今回は北条氏を中心題材としながら、武士とは何かを明示し、鎌倉で成立した王権がどういったものか具体的に示された解りやすい書でした。鎌倉幕府が南関東4ヶ国をベースにしていたこと。室町初期の頃は足利氏が絶対的な存在ではなく、結構自由に歯向かわれていたこと。北条氏は御家人の中でトップにたってきたが、源家の様に絶対的存在になれなかったこと。そして「悪党」とは幕府に包摂されていない非御家人達だということ等学ぶことが多く、満足感一杯でした。2016/07/11
春猫
0
天皇機関説について調べるため、読んだ。まえがきのところは参考になったけれど、この部分は引用文献などがないので、手掛かりにするにはちょっと不安を感じる…。天皇の行ったことはなんでも革新的とされる今の風潮を批判している点もよかった。2015/01/29