内容説明
芭蕉によって俳諧の世界に導かれた乙州・荷月夫婦の目を通して、芭蕉の最期、師弟の絆、門人達の対立葛藤を赤裸々に描く俳諧小説の傑作。
感想・レビュー
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星落秋風五丈原
3
彼女は、芭蕉によって俳諧の世界に導かれた乙州(本名又七)・荷月 (本名れん)夫婦のうち、芭蕉に声をかけられ弾む心を抑えるれんをもう一人の主人公にした。といっても文字どおりの意味で俳諧の世界に導かれたのは夫である乙州とその姉で姑、そして芭蕉から認められた歌人智月の方だ。れんは、度々芭蕉を迎える事の多かったこの家で家事をしていたに相違ない。共に俳諧を楽しんだという記録がなく芭蕉とは共通の会話が成り立たない住む世界が違う人。芭蕉が「よめご御ほねおらせまことにいたいたしく…」と謝辞を述べていた手紙が残っていた。 2007/07/15