内容説明
文明開化の光と影を描いて一世を風靡した“光線画”の異才・小林清親―その苦闘の軌跡と幕末から明治の激動に翻弄される人々の哀歓を浮き彫りにする渾身の長篇力作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ドナルド@灯れ松明の火
22
杉本さん直木賞受賞作。遅まきながら読んだのだが、もっと早く読むべきだったと思った。杉浦日向子さんのyasujiも良かったがその安治の師匠の小林清親の半生を描く。この浮世絵は見たことがある。光線画という名称は初めて聞いた。この作品だけはWEBで実物の絵を見ながら読み進めて本の内容にのめり込んでしまった。文章はうまいし違和感なく当時の世情や出来事も取り入れられ流石の直木賞、文句なし!今年3月に町田市立国際版画美術館で清親展があったことを知り地団太踏んでしまった。超お薦め2016/11/16
baba
21
明治になり、旧幕臣の親清は生活の為に一度捨てた筆をとる。最後の浮世絵師と言われて光線画を描いた小林親清の半生。実際の絵を見たが、絵の様に余韻のある物語でした。時代の変遷に巻き込まれた人々の逞しくそして悲しい思いが溢れていました。2015/09/04
サンディK32
14
非常に爽やかで晴れやかな読後感。至極普通の元御家人の訳あり嫡男の訳あり過ぎ人生を見事なドラマに仕立てた直木賞受賞作。刊行当時は時代小説から離れ、海外ミステリーや冒険サスペンスに嵌っていた時期で、この傑作には全く食指が動かなかった。妻女の性格は不運ではあったが、大体において周囲に恵まれている風に感じるのは主人公が根っからの好人物として描かれているからだろう。それにしても杉本さん、原胤昭がお気に入りだった様ですが、原さん本人に迫った作品は遺さなかったのですかね?興味津々です。2016/02/14
ちゃこ
10
第100回(昭和63年度下半期)直木賞受賞作。[1988年11月刊行] 【目次】「新橋ステンション夕景」「東京新大橋雨中図」「根津神社秋色」「浅草寺年乃市」/ 元御家人であり明治初期に"光線画"で人気を博した絵師・小林清親を描いた作品。 「江戸」から「東京」へと激動の変化を遂げていく町で生きていく人々の悲哀も表現されていて、何ともやるせない気持ちになる場面もあった。小林清親の作品を見たことがないので、これから探してみようと思う。 /[2014ー207]2014/10/17
Totchang
9
3年前に読み終えた本。改めて読んでも引き込まれます。よく見るとこの本の表紙の図は印刷物と左右逆転しています。つまり、元の絵を表紙に使ったのですね。表紙の画像がなくて本当に残念です。東京もTO-KEIであることなど、改めて別の観点から読み進めた楽しい作品でした。。2018/05/02
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