内容説明
本書は「自閉症」の本としては、きわめて異色のものである。著者夫妻はある時たまたま自閉症児にふれ、強い衝撃を受けた。そしてティンバーゲン博士の透徹した行動分析の目と、夫人の情愛あふれる感性をとおして問題を見つめているうちに、従来の学説とはまったく異なるひとつの新しい仮説に到達し、治療方針についても洞察と見通しをもつに至った。本書は、動物行動学が開発してきた独特の生物学的思考のスタイルと科学的方法論を「物言わぬ動物」ならぬ「物言わぬ子ども」に適用することが、自閉症の理解のうえにいかに実りあるものであるかを、理論的に説明している。
目次
自閉的状態の分析―その方法と概念
自閉的状態の分析―子どもの行動
何が子どもを自閉症にするのか
自閉症児はどこまでよくなるか
方法論について
全体にわたる結論
指導法の実際―両親と保育者のために
事例
付録1 母子抱きしめ療法による自閉症からの回復
付録2 地域社会における自閉症児の治療