内容説明
複雑な関係を続けるFBI行動分析官・サム・ケネディとの3週間ぶりの再会が待ち遠しいジェイソン。そんな彼を悩ませているのは、幻のフェルメール作品を含むかつてナチスに奪われた美術品の捜査。美術品横奪の容疑がかかる男が、絵の持ち出しはモニュメンツ・メン―第二次大戦中に美術品を守った多国籍部隊―に命じられて行ったと証言していたのだ。疑惑のモニュメンツ・メンこそ、ジェイソンの敬愛する祖父、エマーソン・ハーレイ。祖父の無実を証明するべく、ジェイソンは自らの進退をかけて捜査にのり出すが―!?
著者等紹介
ラニヨン,ジョシュ[ラニヨン,ジョシュ] [Lanyon,Josh]
ゲイ・ミステリ作家。複数の受賞歴を持ち、十年以上もジャンルの先端を走り続けている。ゲイ小説ジャンルからスタートし、M/Mジャンルを牽引して流れを作ってきた作家の一人。ミステリからアクションまで幅広く執筆。近年女性であることを公表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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くたくた
61
ナチスが略奪し、その後密かに米国に持ち込まれたフェルメールの行方を追うジェイソンがド田舎モンタナ州に。サムは別件で同じ支局で活動中。今までは二人の恋愛の行方の方が大事だったが今作は美術犯罪班の捜査官ジェイソンのお仕事が中心の流れ。フェルメールネタが多いな最近。だがしかし、その美術品を終戦後すぐにドイツから米国に私的に持ち出し隠匿した犯罪に、ジェイソンの崇拝するグランパが関わっている可能性が。なんとしても真実を明かしたいジェイソンと、身内が関わる犯罪捜査に関与する、という倫理綱領違反を問うサムが対立して。2022/02/06
くたくた
29
再読。やっぱりジェイソンが悪いんじゃないかとは思うが、終盤のドクとの語らいがとても好きだ。ジェイソン、大好きだった祖父と語っているような気分になっていたのかも? またも突然訪れたサムとの破局は胸が痛いけど、恋人であっても自分と他人は別の人間で、考え方も違えば大切に思うものも違うって言う、現実では当たり前なことをきちんと書いているのがジョシュ・ラニヨンの良いところだと感じる。2023/12/27
きょん
25
殺しのアートシリーズ第4弾。ドクター・カイザーの脅威は少し横へ置いておいて、今回はナチス略奪美術品を巡る事件。人類の遺産とも言うべき名品の横で繰り広げられる不倫昼ドラに、人間の聖俗入り混じる複雑さを感じた。そして、サムの思いやりと言葉の足りなさは通常営業だけど、今回はジェイソンの独り善がりも目立つので、どちらもアクが強いんだな。無事平穏に纏まる日は来るんだろうか?2021/09/04
しましまこ
24
ナチスに奪われた幻のフェルメール作品はどこに?またもやサムにムカつくんだろうなと読んでたが、今回はジェイソンもダメだよな。ホントにハラハラ疲れる二人、次巻はいつ?2021/08/29
K.S
15
殺しのアート④。第二次大戦中にナチスにより失われた絵画たちの運命。そこにFBI特別捜査官ジェイソンの亡き祖父がからみ殺人事件にまで発展。ジェイソンの嘘のためにサムが追い詰められて破局へと向かう懸念。いやはやこのふたりはついたり離れたりと忙しい。ゲイミステリーというジャンルだが、主人公がゲイであるだけで、ロマンスとミステリーがほどよく盛り込まれ、しかも著者の絵画への造詣が深く目が離せない。サムとロマンスのあったハンサムな捜査官へのジェイソンの嫉妬も微笑ましいし、パートナーJ.Jの関係も密接になってきた。2024/10/24