内容説明
国際的ヴァイオリニストの館原新良は、慰問で訪れた軽井沢で出来心から逃亡し、とある洋館に入り込む。そこには聴覚に障害のある美しい青年・吹野がひとりで暮らしていた。音のない世界とはどんなものか。館原には想像もつかず、そのまま身分を偽り住み着いてしまう。刺繍をする吹野のそばで穏やかな日々を送るうち、音だけでなく現実社会まで切り捨てているような吹野の頑なさをもどかしく感じ始める館原だが…?
著者等紹介
砂原糖子[スナハラトウコ]
小説家。主な作品に「言ノ葉」シリーズ、「心を半分残したままでいる」(ともに新書館)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きょん
23
軽井沢を舞台にしたバイオリニスト×聾者のしっとりしたラブストーリー。仕事に行き詰まりを感じていた攻が、音のない世界で生きる受と出会い好きになり、もう一度音楽の楽しさを取り戻していくと同時に、受は新しい世界へもう一度踏み出す再生の物語だと思う。クリスマスコンサートのシーンで受が戻って来てくれた時には本当にほっとして泣けた。続篇もあるようなので楽しみ。2021/06/30
しましまこ
17
優しく切ないラブストーリー2021/06/13
烏
9
面白かったー。音のない世界か…想像つかないな…突然転がり込んできた新良を住む世界が違うって頑なに拒絶する吹野がもう切なくて切なくて。一人静かに過ごす吹野にとって新良がどれだけ大きな存在だったか。吹野に出会って考え方とか色んなことに気づいて『どうか、すべての人に音楽を』ってコンサートを開いた新良に感動。吹野に音楽を聴かせたい、吹野が心から笑えるように、きらきらした思いを取り戻せるようにって祈る新良の想いが吹野に本当に届いてよかった。吹野のツンと新良の大型わんこぶりに微笑み。2021/06/22
ハイアール・エスコ
5
「刺繍」とタイトルに入っているので鼻息荒く読み始めたけど残念ながらメインは刺繍ではなくバイオリンなのでした。でもただの生地が刺繍を少し加えるだけでグッと特別感が出るように、この物語の中でも小さな刺繍が、それも白い生地に白糸で施された刺繍がキュンツボを推すのです。ふふ。ここで白糸を選ぶのが響さんらしい…。有名どころのバイオリンの曲がたくさん登場するのでサントラがあったらいいのになぁと思いました。刺繍作家の響さんがツン強めだったのでスピンオフで仲良しモードの2人が読みたいです!あと想像以上に濃厚でした。2022/11/03
monblan
5
音の無い世界に足を踏み入れたバイオリニストのラブストーリー。 奏でるように描かれたベッドシーンは、音楽家ならではで最高に甘々でした。 舞台も自然豊かな軽井沢が二人にピッタリ。 相方目線の続篇も執筆されている様なので、早く書籍化される事を願います。2021/06/24