内容説明
寄席を解雇された落語家のもず・こと文彦は、寄席の主・瀬島から万歳への転向を勧められる。その頃、万歳は落語より格下に見られていた。抵抗を覚えつつも、台頭し始めたばかりの“新しい万歳”を理屈抜きで面白いと感じた文彦は、気の合う相方も得て万歳の道を歩み出す。同時に、時に厳しく時に優しく己を導いてくれる瀬島に恋情を抱くようになり…?昭和初期、万歳黎明期の大阪に花開く、興行師×藝人の恋。
著者等紹介
久我有加[クガアリカ]
’00年、「春の声」(小説ディアプラス第4号/新書館)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
とも*
55
芸人シリーズの番外編。 今回も良かった…瀬島がいつからどういう経緯で文彦に惚れたのか分かり難かったけれど、興行師と藝人として対峙する時は厳しく、違う時は惚れてるのを隠さない瀬島の甘やかし加減がいい。 恋愛模様は最初から安定してるので落語で挫折した文彦が「万歳なんて」と下に見ていた芸に相方に恵まれ頭角を表し活躍していく様がワクワクドキドキ出来て良かったし、二人の人柄が現れる会話や先輩芸人とのやり取りや芸の変化の時代の流れなんかも楽しめた。 「コンジョウワル」がえろいし「わしのもんや」にもドキドキしたよ… 2013/03/31
ま
36
寄席の席亭・瀬島×落語家のもずこと文彦。芸人シリーズ第5弾で、舞台は昭和初期、新しい万歳が登場した時代の話。やっぱり芸人シリーズは名シリーズですね、大好きです!大阪言葉でしかも時代モノ、もうそういうシーンだけでなく全編通してすごい色気がにじみ出てました///落語から万歳へ、移り変わる時代の流れとそこで頑張る文彦、瀬島、団子の物語を堪能しました。そして最後のSS「心掟」、これがすごく好き。じんわりと余韻の残る、素敵な終わり方でした。志水さんの挿絵もすごく色っぽかったです。次の芸人シリーズを楽しみに待ちます↑2012/09/03
みずほ
34
小説★★★★★ 挿絵★★★★★ 興業主×万歳師。現在のしゃべくり漫才が誕生した黎明期のお話。時代は昭和初期。売れない落語家だった文彦は、興業主の瀬島の薦めで万歳師に転向する。まだ芸としての地位が低かった万歳への偏見を乗り越えた文彦は、団子という最高の相方を得て、万歳師として大成していく。久我さんの芸人シリーズはやはり最高! 漫才と関西弁への愛が溢れている。この作品は、特に古い大阪弁がいい。できれば、瀬島視点の短編もほしかったが。巻末の短編で、激動の時代を経て仲の良い男夫婦になってる戦後の二人を見て安心した2012/09/10
りさ
34
昭和初期の大阪が舞台。時代の空気を人にも言葉にも文化にも感じられます。描かれているのは繊細で静かな恋。瀬島がどれだけもずを愛おしく想っているのか描写の一つ一つから伝わって、読んでいてキュンキュンしながら、やさしい気持ちになります。落語家から転身して団子と共に新しい万歳を模索するもずが成長していく様子も生き生きしてます。『心掟』で二十数年後の瀬島ともずが変わらず共にいる描写にじーんとしました。志水さんのイラストもとても作品に合っていて素敵でした♪久我さんのBlogにUPされている団子視点のSSも素敵です。2012/08/20
華里
33
芸人シリーズの中で、群を抜いてしっとりしたお話でした。時代物で今の漫才が出来る頃というのもその要因でしょうか。まだ、洋装より和装の方が多い時代です。大阪弁も古風な大阪弁でいつものポンポンとした掛け合いとは違うのですが、下調べをしっかりされているのですんなり入り込めました。相方の団子がノーマルなんですが魅力的なキャラです。ラストのショートの戦後の話を読んで時代ならではのエピソードに何ともいえない気持ちになりました。2012/09/12
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