内容説明
錬金術師の想像力と賭博師の鮮かな手捌で江戸読み本に挑戦した寺山修司の幻の傑作。原作・山東京伝の戦慄のグラン・ギニョールを寺山修司が見事に脱構築した眉に唾ぬりたくなる寺山版読み本の面白さ！
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まゆき
3
山東京伝の読本「昔話稲妻表紙」を寺山修司が再構築した一冊。足利義政の世、雲州の佐々木家で起きたお家騒動のお話に名古屋山三や不破伴左衛門が絡んだ伝奇ワールド。エログロ部分はほとんど寺山が加えたもののようで、最大の再構築は不破が異形の男という設定部分らしい（モデルは美少年不破万作なのに）。つまりこの本から感じるなんとも言えない胸のざわめき、鬱屈した苦悩と歪んだ世界は京伝では味わえなかったものということ？とはいえやはり京伝も読んでおきたいな。寺山を触発した何かがそこにあるのだし。2012/03/28
龍國竣/リュウゴク
0
山東京伝の読本を寺山が大胆に解釈して再構成したもの。人名が尻之助、糞六、毛剃丸に変更され、主要人物をフリークスに仕立てて、近親相姦やSMを描写するなどエログロを強調し、遊び心に富んでいる。そのうえ復讐が復讐を呼ぶ殺し合いが描かれるのだからたまらない。2014/11/05
