内容説明
雪原に立つ尽くす幼い記憶。その時からずっと、幼なじみに手をひかれつづけていた…。就職は決まらず、卒論もまだ。彼女にはフラれる。眠れない大学四年生・門馬有希は、産廃をめぐるバトルに巻き込まれ、福島の街へ―。
著者等紹介
菅野彰[スガノアキラ]
小説家。2月2日生まれ。福島県在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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扉のこちら側
33
初読。読みはじめてすぐに、「屋上の暇人ども」シリーズの天沼先生が主要登場人物と気づいてテンションが上がった。そして湘南の門間さんというと…。屋上シリーズ同様、モラトリアムな心理描写が巧すぎて、胸が痛痒くなった。八重の桜のノベライズとかエッセイとかで忙しそうな作者だが、屋上シリーズや毎日晴天シリーズ、続編熱望しています。2013/04/27
ひめ
5
菅野さんの初期の作品群で読んでなかったものの一つ。今回この時期に読めて良かったなと思ったのは、産廃を巡るやりとりが、原発を巡る現状に重なり合うから…、『時計を遅らせる』というフレーズにも心情が呼応してしまいました。5人登場人物がいてそれぞれに強い情を抱えてるのに、物語の最初と最後で五角形の辺が均等なままなのが何とも。ところで冒頭の麻雀場面で『屋上の暇人どもの顧問に似てるなこの先生』とぼんやり思ってたら、ご本人だったとは…! 屋上〜も天沼先生に惹かれて読んでたので、こちらでもお目にかかれて嬉しかったです。2011/05/05
りつこ
5
著者ひさびさの小説本。復刊+未収録。屋上の暇人どもシリーズの天沼先生が結構メインで出てきます。というか、パイロット版ですな。荒削りなぶん、著者が書きたいことがよくわかるというか。正直、ストーリーはトンデモです(笑)。最初の日常パートがとても良いだけに、唐突さにびっくり。おいおい、と思っているうちに何となくいい感じにまとまるので、昔からよくわからない説得力があったんだな…と。天沼先生も大学の先生だと案外ふつうですね。2011/04/28
shimaosa
4
世間では原発が問題になってますが、環境問題も結構大変だなと読んで思いました。話の展開も登場人物も愉快なのに考えさせてくれる内容でした。15年前の作品らしいですが今出版しなおしたのにはやっぱり菅野さんが福島の方だから原発や環境問題に考えてみてほしいということでしょうか。2012/02/24
つむじ
3
(図書館) 門馬有希(男)は、大学四年生だが卒業が危なく、就活どころではない・・・。傍らにはいつも、母親代わり(!?)の幼馴染・ひな子がいた。産廃を巡る殺傷事件に巻き込まれ、犯人にされてしまった有希は、ひな子と福島県に逃亡・・・ 思い込みの激しい有希たちの、野放図な大学生、院生生活が描かれている2013/09/21