内容説明
本が本を呼ぶ読書の醍醐味。しなやかな知性が実践する読書術。
目次
1 本の遠近法(世界内存在と処生術―木田元『ハイデガー「存在と時間」の構築』と岡倉天心『茶の本』;俳句とハイカイ―クーシュー『明治日本の詩と戦争』とベルソール『新しい日本』;郊外の仙女―古橋信孝『平安京の都市生活と郊外』;「てりむくり」の感性―立岩二郎『てりむくり』と谷口吉郎『日本建築の曲線的意匠・序説』 ほか)
2 眼の読書術(いのちとかたちの探求―山本健吉『いのちとかたち』;反復による持続―日本的方法―磯崎新・福田和也『空間の行間』;ジャーナリズムとアカデミズム―林達夫『思想の運命』『歴史の暮方』『共産主義的人間』;夢二の愛読者カード―竹久夢二をめぐる三冊 ほか)
著者等紹介
高階秀爾[タカシナシュウジ]
1932年東京生まれ。美術史家。東京大学教養学部卒業。東京大学教授、国立西洋美術館館長などを経て、大原美術館館長、東京大学名誉教授、京都造形芸術大学大学院長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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阿部義彦
20
古本屋で見つけました。新書館2006年初版。新書館と言っても有名な雑誌は『ダンスマガジン』なのかなー。遠い目、実はこの新書館で昔『大航海』と言うカルチャー誌を出してまして、私もよく買ってました。残念ながら休刊という名の廃刊になりましたが。今で言う『ユリイカ』みたいな感じです。これは主にそれに連載された文章です。主に文化論が中心で図版も多く楽しめました。将棋とチェスの違い、コイントスとジャンケンの違い等、目の付け所が何気ないのですが、そこからアクロバティックな知の展開を見せます。2024/10/13
T M
8
第1章の「本の遠近法」が秀逸。以前別の著書で読んだ日本と西欧の比較文化論の話の焼き直しでもあるが、より具体に紹介。高階先生の著書を読むようになって美術史家とは美術という切り口で文化を読み解く専門家なのだなと思った。先生は特に伊勢神宮の例をよく挙げている。造られた「古さ」や遷宮を通して、日本文化の伝統継承の方法や外圧からのアイデンティティの保護を、また将棋から日本独特の役割意識を、巡礼からは「巡る」ことへの文化的意義を明らかにする。どの項目も刺激に満ち溢れ、参考文献も芋づる式に読みたくなる素敵な本です。2016/05/19
Akiro OUED
3
伊勢神宮、将棋の駒、天皇、歌舞伎の名跡。これらに共通するものは、何かの役割を継承しているということ。それぞれの容れ物としての形は、時とともに変化するが、継承している役割は不変だ、と日本人なら自然に受容できる。なるほど。物議を呼んでる女性天皇も、案外すんなりイケるかも。佳書。2022/03/26
goldius
1
私はこの本を読んでハイデッガーとジョジョの関連性に気が付いた、「Being in the world!時よ止まれ!」2007/01/01