感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おゆ
9
底本はワーグナーの原典(独語)ではなく、ラッカムの絵本版(英語)。先達の寺山は意訳飛躍を自在にしたが、高橋訳はワーグナーの台詞やト書きから離れすぎぬよう、かつ読みやすい文章になるよう心掛けたとのこと。出来映えは一篇の長編叙事詩として完成された美しさで、主神ヴォータンや戦乙女ブリュンヒルデの孤独や懊悩の深さを物語るくだりには息を詰めた。ラッカムのペンは同版画のように重厚緻密で、そこに透明水彩のセピアが乗ると瑞々しい神話世界が立ち現れる。特に肩から腕と指先までの肉感と構図の様式美には嘆息。2017/05/10
みよちゃん
6
昔読んだ本。訳も変わったが、この巻では知らぬまに兄と妹が惹かれてしまう。神話によくあるパターン。アーサー王が剣を抜いて手に入れるところ。そしてワルキューレ、ジークムント、父との争い。心おどる、またハラハラとした展開が次作へと繋いでいく。ラッカムの絵がまた良い。2016/06/07
新平
4
ホヨトーホ!現在の”ワルキューレ”のイメージを固定させたと言われている(らしい)アーサー・ラッカムの挿絵付き。ハイアハー!2016/02/25
まゆき
3
ここでメインなのは美しく一途なブリュンヒルデでしょうか。情けない親父ヴォータンの真の思いを汲もうとしたのに、褒められるどころか叱責を受けてワルハラを追われてしまいます。ヴォータンは神のくせにダメ親父。ワルキューレの姉妹たちもちょっと薄情であります。でもこれが後の「英雄との出会い」につながるので楽しみにしたい所。しかしワルキューレって美女軍団だったのですね。ラッカムの挿絵を見てしびれました。今後は「ワルキューレの騎行」を耳にする時、「地獄の黙示録」ではなくラッカムの挿絵を思い出すでしょう。2012/04/12
Valkyrie
2
色々とやらかしてヨメの尻に敷かれている大神ヴォータンだが娘が相手だと強い。メインは不倫に近親相姦に娘の反抗と、みんな自分勝手でロクでもない話なんだけど、人ではなく神さまってだけでこんなに違うものか。さすが上級種族さま。ヴァルハラは「ヴァルハラ送り」とかいいイメージなかったけど、戦場で斃れた英雄が行くトコだったのね。英雄をヴァルハラに連れて行くのがワルキューレのお仕事。ただ、馬に乗せられたままワルキューレたちは休憩して雑談とか扱いはあまり良くないもよう。英雄なのになあ。2020/05/28