内容説明
神の前で、神と共に、神なしに生きるとは?自らの思想形成の途上で決定的影響を受けた3人の先達と対話し、聖書をどう読むか、何を信じるか、いかに生きるかを再検討する。聖書解釈学から死生観に至るまでを平易に論じつつ、原発事故、経済格差、人間軽視の渦巻く現代において、人間の身勝手な「作業仮説としての神」を峻拒する信仰のあり方を問う。
目次
「3・11後の世界」が私たちの現実
マルクスとの出会い
ブルトマンから学んだもの
バルトとブルトマン
バッハの音楽から聞こえてくるもの
聖書は神の言葉か
イエスとキリスト
聖書記者の前理解
理解可能の根拠―人間の定め
「3・11後の世界」を生きる
著者等紹介
川端純四郎[カワバタジュンシロウ]
1934年生まれ。東北大学、同大学院博士課程修了(宗教学専攻)。ドイツのマールブルク大学に留学、ブルトマンに師事。東北学院大学文学部キリスト教学科の教員を務め1999年に定年退職。この間、日本基督教団常議員、世界教会協議会(WCC)中央委員を歴任。現在、日本基督教団仙台北教会オルガニスト、日本基督教団讃美歌委員、九条の会全国講師団メンバー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Yuko Miura
2
最近亡くなった川端先生の新しい本です。先生のホームページにはいつもお世話になっていましたが、本は初めて読みました。小冊子ですが、考えさせられることがとても多く時間をかけて読みました。一番最後のページの「苦しむ人々を苦しめるものと戦いながら生きることは、私たちにとっては、イエスと共に生きることにほかなりません」という言葉を先生の遺言と受け取りたいと思います。一度お目にかかりたかったです。2013/06/25
大岡 孝之
1
「聖書の言葉は、全体として、父権的古代奴隷制社会の言語なのです」。だから聖書を読むにはイデオロギー論が不可欠になる。書き手と読み手の両側のイデオロギーについての認識と自覚。田川建三氏の本に興味を持った。2013/08/11
hiromin3
0
たまたま見つけた本だったのですが、一気に読んでしまいました。この本を書いた後、川端牧師は帰天されてしまいました。この本が、彼の遺書となってしまったことを考えると、原発事故以後をどう生きるべきかという重要なメッセージで、キリスト教徒であろうとなかろうと真剣に受け止めなければならないと思いました。2013/08/29