感想・レビュー
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roughfractus02
8
実存(existence)は、存在することの外(ex)に出ることとされる。古来神学はこの状態を現世的なものを振り払って神に向き合う状況と捉えてきたが、第二次大戦を通った哲学はこの外を剥き出しの生に投げ出された状態と捉え直した。哲学者であり神学者である著者は、戦後刊行されたこの説教集(1948)で、現代の哲学的実存への問いに神学的答えを模索する。著者の説教は破局に進む世界にある人々に対して、「震え動く地の基」(現世)のさらなる深み(神)を示し、この深みを通して他の人々との実存と共有するように、と語りかける。2021/09/30