出版社内容情報
宗教改革の遺産とは何か。
――その真の継承のために
《信仰義認論》の核をなす《神の恵みによる解放》=《キリスト者の自由》。それが《予定説》と結びつき、さらにはバルトによって乗り越えられていく壮大な神学のドラマとは――。
宗教改革の信仰的洞察が造形の世界にもたらした豊かな果実とは――。
ホロコーストをはじめとするナチズムの惨禍に対する宗教改革責任論の是非は――。
昨年500年を迎えた宗教改革の原点、表現、そして神学と思想の影響史に迫った渾身の論集。
I 宗教改革の原点――歴史と伝説のあいだ
1 われここに立つ――ウォルムスの信仰告白
2 ルター伝説のトポグラフィー
II 美術史の中の宗教改革
3 宗教改革者の肖像――ルーカス・クラーナハの信仰と芸術
4 アルブレヒト・デューラーと宗教改革――『黙示録』版画集と『四人の使徒』
5 忘却された宗教改革期の美術から――リーメンシュナイダーとグリューネヴァルト
6 ピーテル・ブリューゲルの絵画を読む――ネーデルランド宗教改革史の中で
III 宗教改革の精神と神学――ルター・カルヴァン・バルト
7 宗教改革の神学的特性と精神態度
8 二つの宗教改革――ルターとカルヴァンの予定信仰の比較から
9 宗教改革者たちを越えて――カール・バルトの予定信仰
終章 ルターはヒトラーの先駆者だったか
付論 エキュメニズムはどこに向かうのか
宮田 光雄[ミヤタ ミツオ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
10
私は、カール・バルトの神学に惹かれる読者である。だから、宮田先生の深い思索に、いつも教えられる。対峙的に語られることの多いルターの信仰義認論とカルヴァンの二重予定説が、共通の贖罪体験を通じて、宮田先生によって見事に一体化される。光と影の二重予定説は、バルトの「啓示された神」によって「恵み」となる。ブルンナーによる万人救済説との批判、プロイスやフロムが指摘するルターとヒトラーとの相似など、批判的な論考も紹介しながら、宮田先生のルターへの信頼は揺るがない。宗教改革500年記念にふさわしい価値ある論集だと思う。2018/12/05
-
- 和書
- 貝のうた 河出文庫