感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
進化論では生命は生存のために感覚し、区別し、対象化して生存の利得関係から世界を作る。神学はその能力を信仰面から捉え、神を抽象化する能力に応用した。が、著者はそのような信仰は暫定的で予備的であるという。著者は全宇宙が関係づけられた「究極の関わり」のビジョンを立て、生命がこの全ネットワークの部分であることに注力する場面を設定する。そのために本書は、世界を対象の集まりと捉える一方で複雑な関係に対して不完全なツールであり続ける日常言語を「究極的関心」(死、生、存在)に向け、言語を象徴として信じる場面に読者を誘う。2021/09/26
うえ
4
「礼典的信仰類型の限界と危機のために、史上、あらゆる時代の神秘主義者たちは現実を、その個々の部分においても、また全体においても超越すべき根本的な一歩を踏み出さざるをえなかった。かれらは究極的なものを、すべてのものの根拠ないし実体と同一視して、それを一者とか、「言表不可能なもの」とか、存在を越えた存在などと呼んだ。神秘主義的信仰の動機は、信仰の具体的礼典的な道を排除することにあるのではなく、それを超越することにある。具体的信仰から始まって、あらゆる具体性が…消滅するに至る、長い道程の終局が、神秘主義経験」2019/03/16