内容説明
ホロコーストを生んだユダヤ人憎悪と排除は根深い。「ユダヤ人はキリスト殺し」「神はイスラエルとの契約を破棄して教会と新たな契約を結んだ」という観念が、キリスト教の神学にも構造化されている。だが神とイスラエルの契約は破棄されているのか?新約聖書の厳密な釈義と問題史の丹念な追跡によって、キリスト教社会の宿痾として存在してきた反ユダヤ主義の誤謬を剔抉し、併せてイスラエルの民との契約に発する救済史の新たな捉え直しを迫る。
目次
第1章 “排他的対立”としての“イスラエルと教会”―ローマ九‐一一章の釈義の解釈学的分析(一)
第2章 中間的考察―ブルトマンとバルトのユダヤ人問題に対する態度の同時代史的考察
第3章 神に選ばれた一つの共同体の二つの形態としてのイスラエルと教会―ローマ九‐一一の釈義の解釈学的分析(二)
第4章 ボンヘッファーのユダヤ人理解
第5章 “アウシュヴィッツ以後の神学”におけるユダヤ人理解
終章 レオ・ベックに学ぶ―ユダヤ教とキリスト教の対話
著者等紹介
武田武長[タケダタケヒサ]
1942年、中国河南省開封市に生まれる。上智大学外国語学部ドイツ語学科、東京大学文学部宗教学宗教史学科を卒業した後、マインツ大学、ミュンヘン大学、ベルリン自由大学に留学。Ph.D(1981年、ベルリン自由大学)。山梨英和短期大学教授、フェリス女学院大学教授を歴任。日本基督教団佐久教会信徒伝道者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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