内容説明
突然神学の諸科の内容を説明されても、あるいはバルトのように「中に入れ」と言われても、とても入門などできないのである。むしろ神学とは一体なぜ必要になったのか、神学とは何であったのか、そして今なぜ神学が必要なのか、といった「入門」のさらに前に必要な話。
目次
第1講 「ああ、神学も、また」―「神学とは何か」という問い
第2講 「イエスが宣教したのは神の国の到来だったのに、やってきたのは教会だった」のか?
第3講 キリスト教的ヨーロッパの成立と神学
第4講 宗教改革と中世の終わり方
第5講 一七世紀イングランドの改革と神学の市場化
第6講 レ・ミゼラブル―フランス革命と神学
第7講 プラグマティズムとしての神学
第8講 神学のアクチュアリティー
著者等紹介
深井智朗[フカイトモアキ]
1964年生まれ。アウクスブルク大学哲学・社会学部博士課程修了。Dr.Phil.(アウクスブルク大学)、博士(文学)(京都大学)。現在、金城学院大学人間科学部教授。著書に、『超越と認識』(創文社、2004年、第13回中村元賞)、『十九世紀のドイツ・プテスタンティズム―ヴィルヘルム帝政期における神学の社会的機能についての研究』(教文館、2009年、2009年度日本ドイツ学会奨励賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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amanon
4
タイトルが示唆する通り、神学史というべき内容。平易な語り口だが、その言わんとすることを理解するのが意外としんどかった気が。神学といえば、神学者達が象牙の塔に引きこもって論ずるものみたいなイメージがあるが、本書を読むと、神学がいかに政治や文化の動きに影響されやすい(時期によっては一体化している)、ある意味非常に世俗的で生臭いものであることが如実に理解できる。つまり、それは神学者だけに任せておいて良いものでは決してないということでもある。個人的には、中世と近代との境目についての解釈がとりわけ興味深かった。2022/06/29
うえ
4
神学の面白さや深さを伝える点では佐藤優以上。ただ欧州史の知識がやや必要。「19世紀末から前世紀のはじめにかけて「戦争神学」などという言葉がしばしば使われた…戦争を肯定したり協力したりするための根拠を、ルター派の伝統や聖書の言葉…創造の秩序や二王国説などの神学的概念を用いて提供するもの」「神学者ロワジーはキリスト教宗教の誕生が実はイエスが教えたこととはまったく違った方向へと展開してしまったことの意図せざる結果だと考えた。それが彼の有名な言葉「イエスは神の国の到来を説教したのにやってきたのは教会だった」」2015/01/26
Go Extreme
2
「神学」とは何かという問い: 伝統的な「神学諸科解題」という答え 神学という学問の社会史 「イエスが宣教したのは神の国の到来だったのに、やってきたのは教会だった」のか?: 神学がなぜ必要になったのか 終末の遅延 二つの神学観 キリスト教的ヨーロッパの成立と神学: 宗教改革と中世の終わり方: 神学とナショナリズム 一七世紀イングランドの改革と神学の市場化: アングリカンとピューリタン レ・ミゼラブル―フランス革命と神学 プラグマティズムとしての神学: 自発的結社の国アメリカ 神学のアクチュアリティー2022/01/04
つかしん
2
4冊目 (2020年8月−2021年7月で100冊) 神学って言われてもとっつきにくいし、教会に行っていても、なかなかわかりづらいというのが正直なところ! 時代の中でどういう必要があって生まれてきたのかが薄めなのでサクッとわかります。 難しい言葉は、国語の教科書みたいに下に注がついてるのも助かります。2020/09/01
ゆたか
2
神学入門のための入門書、といった趣である。キリスト教が世俗国家とどのような関係を有してきたのかを概観するのが主な内容。19世紀以降のヨーロッパにおけるライシテ(非宗教化、世俗化、何と訳すのか?)の過程を詳しく知りたかったが、本書ではあまり言及されていない。2014/07/17