出版社内容情報
キリスト教初期の都会人はいかなる信仰と実践をしていたか。フェミニスト神学の「歴史的想像力」を駆使した近年最高の成果。
内容説明
ヨハネ福音書に登場する女性たちに新しい光を投げかけ、彼女たちの生き方、イエスとの関係からまなぶ。
目次
過去を見直して現在の変革へ
第1部 新しい歴史的想像力を求めて(キリスト教の歴史を眺める新しい方法;第1世紀ユダヤ女性・男性の日常生活;神々と宗教指導者;預言者と1人称の啓示 ほか)
第2部 新しい耳で聞くマルタとマリアの話(話と登場人物;話の世界の民族性・階級・ジェンダー;マルタとマリア、そして今日のクリスチャン女性・男性たち)
著者等紹介
山口里子[ヤマグチサトコ]
1945年生。日本聖書神学校で学ぶ。1996年アメリカ・ケンブリッジにあるエピスコパル神学校(EDS)より博士号取得。2000年より日本フェミニスト神学・宣教センター共同ディレクター。日本聖書神学校などで講師を務める。日本基督教団大泉教会員
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感想・レビュー
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松本直哉
30
男性の福音記者が排除し抑制してきた女性の肉声を行間から読み取る「抵抗の読み」で読み解くヨハネ福音書のマルタ・マリア姉妹のエピソードは刺激的である。ここでは女性たちが主導権をもってラザロの復活をイエスに懇願する。マルタがメシア信仰を告白し、マリアがイエスに油を注ぐ(油を注ぐのは救世主のしるし)。しかし頭ではなく足に注ぐことで福音記者はマリアを格下げしたつもりだったし、男の弟子はその行為を浪費的と非難する。だがその次の章の最後の晩餐では、まるでマリアの行為を模倣するかのように。イエス自身が弟子の足を洗うのだ。2021/04/02