内容説明
散歩は「美」の探検隊である。歩きながら、人の目につかず埋もれた「美」を見出し、また誰もが美しいといわなかった「もの」たちに新たに美的評価を加える。散歩はこのひそかな楽しみを私達に、そっと路上で与えてくれるのである。
目次
第1章 散歩は知的な「美」の探検である
第2章 散歩を美的なものにするには工夫が必要
第3章 散歩の美学
第4章 散歩の空間
第5章 散歩の遊び
第6章 美的散歩と考現学的散歩(美的散歩と考現学的散歩の違い;考現学的散歩での興味深い対象;過去において調査されたことのある考現学調査項目)
第7章 文学散歩と歴史散歩
第8章 散歩の準備・心構え、散歩の未来
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はなびや
2
私の恩師・松田良一の初めての炭鉱本である。近代文学の研究者なのに、「散歩」というのが、いかにも師匠らしい。松田の師匠は前田愛である。「前田先生がね」で始める話は今思えば、遠い記憶を呼び戻すように、少し上向き加減で語っていたように思うのだ。松田の語るような口調は、ゆっくりっとその頃の映像を思い出しているからだろう。とてもよく覚えている。とても人気のあるゼミで、大学2年生から研究生まで4年お世話になった後も、交流は続いた。この本のあとがきにもあるが、当時「東海世相風俗研究会」を主宰され、会員と共に、2020/04/26