風を彩る怪物

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風を彩る怪物

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  • サイズ 46判/ページ数 429p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784396636258
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

命を懸けて紡ぐ音楽は、聴くものを変える。
「この楽器が生まれたことに感謝しています」
圧巻! 『蜜蜂と遠雷』以来のスペシャルな音の洪水。
とんでもない作品に出合ってしまった……。
――ブックジャーナリスト 内田 剛さん
二人の十九歳が〈パイプオルガン〉制作で様々な人と出会い、自ら進む道を見つけていく音楽小説。

「私たち、本当は何になりたいの?」
音大受験に失敗した名波陽菜は自信を取り戻すため、姉の住む自然豊かな奥瀬見にきていた。フルートの練習中に出会ったのは、オルガン制作者の芦原幹・朋子親子。同い年の朋子と〈パイプオルガン〉の音づくりを手伝うことに。だが、次第にオルガンに惹かれた陽菜はこのままフルートを続けるべきか迷ってしまう。中途半端な姿に朋子は苛立ちを募らせ、二人は衝突を繰り返す。そんな中、朋子に思いもよらぬ困難が押し寄せる! 絶望に打ちひしがれながら、オルガン制作を続けるか葛藤し、朋子は〈怪物〉を探しに森の中に入っていくが……。果たしてオルガンを完成させることはできるのか?

内容説明

音大受験に失敗した名波陽菜は自信を取り戻すため、姉の住む自然豊かな奥瀬見にきていた。フルートの練習中に出会ったのは、オルガン制作者の芦原幹・朋子親子。同い年の朋子と“パイプオルガン”の音づくりを手伝うことに。だが、次第にオルガンに惹かれた陽菜はこのままフルートを続けるべきか迷ってしまう。中途半端な姿に朋子は苛立ちを募らせ、二人は衝突を繰り返す。そんな中、朋子に思いもよらぬ困難が押し寄せる!絶望に打ちひしがれながら、オルガン制作を続けるか葛藤し、朋子は“怪物”を探しに森の中に入っていくが…。果たしてオルガンを完成させることはできるのか?二人の十九歳が“パイプオルガン”制作で様々な人々と出会い、自ら進む道を見つけていく音楽小説。

著者等紹介

逸木裕[イツキユウ]
1980年東京都生まれ。学習院大学法学部卒。フリーランスのウェブエンジニア業の傍ら、小説を執筆。2016年、「虹になるのを待て」で第36回横溝正史ミステリ大賞を受賞。同年、『虹を待つ彼女』と改題しデビュー。その後は青春ミステリを軸に精力的に作品を発表する。2022年、「スケーターズ・ワルツ」で第75回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

160
フルート演奏とオルガン製作。それぞれの道を志しながら行き詰まって先を悲観していた2人の娘が偶然出会ったとき、周囲をも巻き込んで化学反応を起こしたように道が開けていく。その道は舗装されておらず、妥協を拒んで理想を貫こうとするため穴や水たまりに躓き傷だらけになりながら、彼女たちは決して夢をあきらめず懸命に前へと進む。そんな姿は『ジャン・クリストフ』のクリストフとオリヴィエの友情の変奏曲を思わせる。最後に山奥で自然の奏でるオルガンの音が響き渡るシーンは、ついに「生まれ出ようとしている日」を発見したように美しい。2022/07/12

シナモン

124
一本で色々な表現をするフルートと、大量の管を並べるオルガン。その対比が面白い。それぞれの楽器に魅せられた陽菜と朋子の物語。パイプオルガン制作の裏側って考えたこともなかった。細かい専門的なことはなかなかイメージしづらかったけど、森のなかの工房で作られるオルガンって素敵だな。ときにぶつかり合いながらもお互いを高め合い、心を通わせていく陽菜と朋子。巨大なパイプオルガン制作、スケールの大きな物語で読むのに時間がかかったけど読後感さわやかな一冊でした。2023/05/07

trazom

124
楽友から面白い音楽小説が出たと紹介され、推理小説的なものは苦手だけれど…と思いながらも手にする。オルガンビルダーの父の思いを受け継いでパイプオルガン製作に打ち込む少女と、フルートで音大を受験しようとする少女を巡る物語。オルガンという楽器の奥深さや、音楽家を目指す中で遭遇する葛藤などが塗り込められているし、実在の演奏家のエピソードやサン・サーンスの「オルガン付き」の話題なども登場して、音楽的にそこそこ楽しめたと思う。ただ、私には、ミステリータッチの展開を味わう読み手としての資質が欠けていることが申し訳ない。2023/01/11

シャコタンブルー

85
パイプオルガンを聴く機会はほとんど無いが教会の中で響き渡る荘厳な音色を連想する。その美しい旋律と森の中に潜む怪物とどう結びつくのか興味深く読み進めた。将来を嘱望されながらもフルートで挫折した陽菜が出会ったのがオルガン製作者の朋子だ。楽器演奏者と製作者の立場と性格が鮮明に異なり水と油のように交わらない二人。ギクシャクしながらも互いの音楽に対する真摯な姿勢に共鳴していく様子は爽やかだ。鳥のさえずり、樹々のざわめき、風の咆哮。それら森の息吹が込められて完成したオルガンの深く広い音色が今にも聴こえてきそうだ。 2022/07/05

とろとろ

81
フルートで音大を受験しようとしている娘が自信を無くし田舎に住んでいる姉の元にやって来る。そこにはオルガン工房があってリハビリついでにその工房を手伝うことに…。工房には工房を営む60代の父と同年代の娘がいてフルートの娘と工房の娘の話が章立てて語られる、という体(てい)。表題はオルガンに送る風の意?。オルガン作りもフルートの技術も全く判らなかった。ただ流れに沿ってだらだらと追っていく感覚。以前読んだ青山文平の「跳ぶ男」は能の話だったが全く分からなかった。これも同様な感覚で何も琴線に触れない…。なんなんだ。2022/09/04

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