内容説明
フリーライターの南比奈子が取材することになったのは、伝説の映画プロデューサー、上野重蔵。彼には不可解な謎があった。文芸映画の巨匠として名を馳せていた五十数年前に突如、表舞台から姿を消したのだ。数年後、映画界に再登場したのは、なんとポルノの製作者としてだった―。取材の中で比奈子は、上野が製作したという邦画史上存在しないはずの映画の存在を知る。百年に一度の女優のデビュー作となるはずだった本作が、完成後、上映取りやめになったことも。取材を続けるうちに、上野重蔵という男と幻の映画の全貌が次第に明らかになっていく―。
著者等紹介
阿木慎太郎[アギシンタロウ]
1939年、東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、東宝に勤務、東宝映画取締役を経る。75年『愛と憎しみの宴』で文壇デビュー。以後、アクション、ハードボイルド小説などで活躍。累計111万部を突破したベストセラー「闇の警視」シリーズ(祥伝社文庫)はじめ、リアリティに溢れるエンターテインメント作品の執筆を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rosetta
26
★★★★☆フリーの映画評論家の南比奈子は50年前に引退した伝説のプロデューサー上野重蔵のインタビューのアポを取り付け昔住んでいた下北沢にやって来た。数多くの文芸作品を作った上野は三年の沈黙の後ポルノ監督として復帰しヒットを飛ばすが長くは続かなかった。実はこの上野は名前を継いだ二代目で最初の上野はその休止の前の最後の作品『スター誕生』の未公開を決めると死んでいた。そして主演女優倫子も完成直後に死んでいた。生きていれば日本映画に君臨するスターとなったはずの倫子。その死の謎を追うが真相は時代の彼方に藪の中2021/01/27
かなずちラッコ
4
タイトルに惹かれて阿木慎太郎さん初読み。映画界の大物に取材するが、公開されなかった映画と主演女優に何があったのかを調査する。よくある話で普通におもしろかったが、登場人物が話をもったいぶりすぎていらつく。2021/01/09
たま
2
最後の映画を見る人々のそれまでの来し方を思う。ピグマリオンは誰を思う涙か。2021/04/01
あざすたしあ
2
1作目の公開もなくなり消えた幻の女優と幻のデビュー作。彼女を好きになった男の人たちのロマンチストぶり、ちょっと古風ですね。映画好きはうんちくとかも盛り込まれていて面白く読めるんじゃないかと思う。2020/12/04
弥生
0
重厚な、映画のような小説だった。2024/06/30