内容説明
私が疑いを晴らしてあげる―突然、同級生へのストーカー行為を告発された大学生の牟田幸司。身に覚えはないが、“証拠”を盾に周囲は犯人扱いだ。追い詰められた幸司を救ったのは、冤罪を研究する先輩・紗雪の一言だった。幸司を陥れた“証拠”とは何なのか？調べを進めると、目撃証言や記憶など人間の認知が驚くほど曖昧なものだったことが判明。幸司の疑いは晴れた。真犯人は別にいる、それは誰だ？謎を追う二人の前に、さらなる事件が待ち受けていた！（「無意識は別の顔」）。なぜ冤罪は生まれるのか？人間心理の深奥を暴く！青春＆新社会派ミステリー！！
著者等紹介
友井羊［トモイヒツジ］
２０１１年、『僕はお父さんを訴えます』で第１０回『このミステリーがすごい！』大賞優秀賞を受賞してデビュー。１４年、『ボランティアバスで行こう』が「ＳＲの会」１３年ベストミステリー国内第１位に選ばれる（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ﾓﾙｸ
136
冤罪をテーマとした連作短編集。ストーカーの疑いをかけられた大学生の牟田。自分ではないと主張しても信じてもらえず態勢は不利、理不尽な思いをする。冤罪を研究する同じ大学の紗雪の助けを受け…。その後は自分の経験をいかし、紗雪と共に冤罪に苦しむ人をその事件の謎を解き救う。証拠はどこまで信用できるのか、目撃証言や記憶の曖昧さ、さらにやってないことを証明することは難しい。そして確たる証拠もなくいたずらに糾弾する人々が一番恐ろしい。それにしても、ここに出てくるイタリア料理が美味しそうでやたらと気になってしようがない。2020/06/06
utinopoti27
136
冤罪は何故生まれるのか。本作は、４つの要因をテーマにした話で構成されている。主な登場人物は３人の大学生。主人公の牟田幸二、冤罪を研究している遠藤紗雪、何やらわけありの美女・環美兎。なぜ紗雪は冤罪にこだわるのか、そして美兎とはどういう関係なのか、話が進むにつれて徐々に明らかになってゆく仕掛けだ。探偵役の紗雪を軸にした謎解きは、都合よく解決し過ぎる気もするが、コンパクトにまとまっており、それほど違和感はない。青春ミステリと銘打つだけあって、学生たちの成長を通した爽やかな読後感が楽しめる作品に仕上がっている。2019/09/17
みかん🍊
117
ストーカー、器物損壊、痴漢、殺人事件ろ冤罪に関する４つの連作短編集、どれもいろんな意味で解決はするが読んでいて苦しかった、例え無実でも犯人とされた者は周りから責められ誹謗中書を浴び苦しい立場に立つ、社会的制裁をうけ仕事や地位を失う事もある、しかし被害者の方も決して陥れるつもりではなく辛い思いをしている、人間の視覚、記憶は曖昧で思い込みに踊らされる、しかしながら実際積みを犯していても無実を言い張る犯人もいる、冤罪を生まない為に司法が正しく機能して欲しい、いつ犯罪や冤罪に巻き込まれるか分からない。2019/09/04
ベイマックス
97
4つの登場人物は同じの連作短編集。ストーカー冤罪、ドローン破壊冤罪、痴漢冤罪と冤罪を主題にしている。そして、最後の大トリが重い。ズボンが味噌樽から発見という記載は袴田事件ですね。考えさせられますね、自己保身や職務上の「ウソ」について。2023/03/24
ごみごみ
95
冤罪がテーマの４話連続短編集。記憶の上書きによる顔の錯誤、色の恒常性による誤認など、人間の視覚や記憶って曖昧で先入観や思い込みにすぐ騙される。自白の強要、証言者の偽証、証拠の捏造などもあってはならないが、実際にこうして冤罪が生まれている可能性もあることを知った。そして起訴されてから無罪を主張することがとても難しいということも・・ちょっと怖くなった。2019/10/22
