内容説明
戦争に翻弄されつつも、数奇な運命に導かれ、鮮やかに輝いた青春があった―。東京大空襲からわずか三週間後の昭和二十年四月一日。上京した十四歳の美代子は、新宿の看護婦養成所に入学した。「お国のために働きたい」と勉学に励む美代子だったが、激化する空襲に、現場はたちまち野戦病院と化していく。同じ頃、二十三歳の隆作は、通信兵として大陸を転戦していた。だが、壮絶な行軍の末、体調に異変を来してしまう…。
著者等紹介
盛田隆二[モリタリュウジ]
1954年、東京生まれ。90年『ストリート・チルドレン』で野間文芸新人賞候補、92年『サウダージ』で三島由紀夫賞候補。『ぴあ』の編集者を経て、96年より作家専業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみねこ
67
著者のご両親の青春を書かれた作品。昭和20年4月1日に14歳で看護婦養成学校に入学するため栃木の田舎から上京した母、昭和18年に通信兵として大陸に渡った父。両親がどのように出会い、自分たち家族を成していったのか。若き日の母・美代子さんがとても魅力的でした。2018/01/07
信兵衛
29
戦時下、あるいは戦地での過酷な状況が描かれていますが、本書全体としては、作者のご両親、2人それぞれの青春期という印象が強いです。2017/11/06
ピロ
25
盛田さん読むのは4作め。書店で目に入って手にとった本作、とても引き込まれました。盛田さんの両親の伝記です。戦争を生き抜いた若き父と母の出会いの物語。二人の誕生前から描かれて。終盤ようやく二人は出会います。できれば出会ってからの二人をもうチョッと描いて欲しかったかな。2019#52019/04/03
keith
23
盛田さんの両親が主人公の私小説。通信兵として中国へ出征した父と、東京の看護学校へ入校した母。戦後、その二人が出会うまでの物語。恋愛物語ではなく、中国では決死の行軍、東京では空襲という地獄の状況の中で、必死に生き抜いた市井の人間の物語でした。2017/12/20
さんつきくん
7
著者の両親をモデルにした小説。父・隆作がなくなった。母・美代子は10年以上前に亡くなっていた。小説家である主人公は両親がどうやって出会い、結ばれたのかを知らない。親戚から話を聞き、調べて、小説家特有の想像力を働かせて書いた、読後感に響く一冊。主に戦時中の二人が当時、どうしていいたかが書かれている。隆作は苦学の末、通信技師となり、戦時中は通信兵として、中国前戦に配置された。美代子は進学の夢を捨て、新宿の逓信病院の看護学校で看護婦見習いとして、寮生活をし猛勉強していた。やがて、戦局は悪化し、終戦をむかえる。2023/06/03
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