内容説明
絶望に満ちた少年が、知恵と才能の限りを尽くして“悪魔”へと変貌していく過程を描いた傑作評伝。
目次
1章 「異端の烙印」―絶望の子供
2章 「悪魔が来りて笛を吹く」―新宿家出少年が映画を撮ってなぜ悪い?
3章 「頂上決戦」―東京ガガガが炸裂させた最強エンタメ
4章 「地獄より愛をこめて」―結婚、そして怒涛の三部作
5章 「暴走の季節」―悪魔、再びけもの道をいく
著者等紹介
速水由紀子[ハヤミユキコ]
大学卒業後、新聞社専属記者を経てフリー・ジャーナリストとなる。現在、単行本や『AERA』などの雑誌での取材・執筆活動等で活躍。女性や若者の意識、家族、セクシャリティ、少年少女犯罪などを主題に、綿密な取材を施したルポルタージュには定評がある。また映像世界にも造詣が深い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いたろう
27
渋谷の映画館で園子温特集の上映を観て、改めて園子温スゲェと。その園子温の「成り立ち」を全裸疾走事件などを起こして通知表に性的異常が見られると書かれた子供時代まで遡ってえぐることで、園子温の理解がいくらか進んだ気が。キューブリックの「時計じかけのオレンジ」に感動し、寺山修司に憧れた園子温が作る「人畜有害」なエンタメ作品。園子温に比べると北野武がなんてお上品に見えることか。万人受けはしなくとも、園子温は、現代の日本を代表する映画監督であることは間違いない。2014/02/28
しーふぉ
19
10歳の時に学校に全裸で登校、君は知っているか?君の両親は毎晩セックスの快楽に浸っていると学校新聞に書き、通信簿に性的異常が見られる。精神科で診察してもらってください。と書かれたりと鬼才ぶりを幼少期から発揮。父親とは不仲となる。童貞を捨てるため新宿に行き、人妻とホテルに入るが、包丁を出され一緒に死んでくれと迫られるエピソードなど人生が映画そのもの。寺山修司を崇拝し、園子温の詩も載っているが、詩人としても非凡なものがあるようです。「俺は幸せを恐れないから」という言葉格好いいな。2017/05/07
nbhd
6
園子温への僕の個人的な心酔を別にしても、読み物としてよくできていて良い。そして園子温への僕の個人的な心酔を別にしても、なにかノンフィクションの賞をとってもいいかもしれないと思う。父親との関係、寺山修司との邂逅を軸にして描かれる園監督の像、やっぱり面白いなぁ。p27「お父さんとお母さんの仲が最悪で、愛のない欲望だけの寒いセックスをやってしまった結果、避妊に失敗して君が生まれてしまったんです」2013/10/19
mt_punt
2
向き合ってくれなかった父への怒りと悲しみが原動力。オススメです。2014/03/12
ホリエンテス
1
何かを産み出せずには居られない人の話。 意識的に演じてる部分もあるのかもしれないが、表現者とはこういうもの。2018/09/15