僕はただ青空の下で人生の話をしたいだけ

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  • サイズ B6判/ページ数 251p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784396634018
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

「人生とは――ああそれを一言で言えるくらいなら、誰も小説など書きはしない」

2012年、伊勢谷友介監督、森山未來主演で映画化された『セイジ』が話題に。
その辻内智貴氏七年ぶりの新作は、「生」と「死」を見つめる男のまなざし。

故郷に帰った作家の俺は、拾った猫のミーちゃんと一緒に静かに暮らしている。そこで俺が驚いたのは死んだ友人の数の多さだ。
世間で言うところの「幸福」や「不幸」とは、「死」までを旅する「時間」という乗りものの乗り心地のことを言っているのだろう。
しかし考えてみたら、たどりつく場所はみな同じではないか。

深夜に近所のコンビニに煙草を買いに自転車で行った時、彼女に出会った。毛足の長い真白なロングコートの下に、胸元にギャザーの入ったサテン地の派手なドレス。「タクシー、つかまらなくて」源氏名を持っていそうな彼女を、俺は自転車の後ろに乗せた。
「小説家さん、って何でも知ってるんですか? 何きいても、おしえてくれます?」
「さあ、どうだろな」
彼女との関わりは、突如衝撃的なかたちで幕を下ろす…。

しみじみとした風景の中に、胸を打つ言葉と物語が、現実を抉る鋭い視点が。
珠玉の最新作品集。

【著者紹介】
1956年福岡県生まれ。シンガーとして活動後、2000年に「多輝子ちゃん」で第16回太宰治賞を受賞。真摯に「生と死」の根源を見つめる作風で読者を獲得、02年『セイジ』がベストセラーに。他の著書に『いつでも夢を』『ラストシネマ』『帰郷』『野の風』など。07年には『青空のルーレット』が、10年には『信さん』が、12年には『セイジ』がそれぞれ映画化されている。また09年にはシンガーとして待望のファーストアルバム『ZERO』をリリース。本書は実に6年の沈黙を破って刊行される、待望の作品集である。

内容説明

三年前に生まれ育った地方都市に戻って来た、作家でシンガーでもある竜二。猫のミーちゃんとふたり(?)暮らし、徒然に日々を送りながら生について、死について、思索をめぐらせる。社会の周縁から垣間見える、数々の人間ドラマ―。ベストセラー『セイジ』から10年―。しみじみとした風景の中に、胸を打つ言葉と物語が。珠玉の最新作品集。

著者等紹介

辻内智貴[ツジウチトモキ]
1956年福岡県生まれ。シンガーとして活動後、2000年に「多輝子ちゃん」で第16回太宰治賞を受賞。真摯に「生と死」の根源を見つめる作風で読者を獲得、02年『セイジ』がベストセラーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

139
辻内さんはやっぱりいいなあ。この人の小説を読んでいると心がじんわりと温かくなる。これまで出会った人達のことをなぜか思い出して、懐かしさがこみあげてくる。「A Day」という連作と3つの短編が収録された本。辻内さんらしき中年の作家が出てくる連作の「A Day」が良い。中年作家のゆるい生活を描きながら、さりげなく人の生と死を浮き彫りにしている。笑えるところと泣けるところが絶妙にブレンドされていた。登場人物一人一人に優しい眼差しが注がれており、その優しさは辻内さんのお人柄から来るものだ確信できる。2016/04/02

miyumiyu

36
他の作品とはちょっと違う、おじさんのつぶやきみたいな感じで、やはり「生きるとは?」を問い掛けてる。プフッと笑ってしまうところもあるけど、孤独と寂しさが伝わってくる。人生は人それぞれ違うけど、見上げる青空は同じもの。辻内さんの作品を読むと、そんな気持ちになる。2013/07/30

紅香

33
復興が急がれるのは町並みなのだろうか、心なのだろうか。見えない『心』『時間』『生と死』『幸福』が垣間見えたいつかの7日と3つの短編集。。押し付けることもなく、説教じみてもいない。熱さもないのに、とても深く心を揺さぶられる。これは途方もなく大切な問題提起。何かを置き去りにしてる喪失感。その正体を浮き彫りにして、でも決して置き去りにしない筆者独特の優しさに包まれる。ふと寂しくなったとき、失くした欠片があった!と青空の下で私もただあなたに報告したいだけなのだ。どう?ちがうのかな?と寄り添いたい、それだけなのだ。2019/11/16

ぺんぎん

28
「A DAY」はエッセイかと思ったけど自分と重ねた話っぽくていろんなこと考えてしまう。人生とか死ぬこととか。最後の「君の幸福は僕の幸福」の優しさがじんわりと温かくて好き。「10冊目」となる次の作品、気長に待ち続けます。2013/04/06

アキ

15
老人に「なれる」自信もなく、振り返れば、若者であるべき年齢の時に若者ですらなかった気がするという中年作家の辻内さん。居場所のないまま生きることに自らOKを出すその人生観。そんな辻内さんと自分とは元は同じ人間だったかも(?)しれず、ただどこかで袂を別つことになっただけのような気にもなり…。だからか、遠い記憶や忘れ物にふと気づいて振り返るように、辻内さんの佇まいや書くものが、何やら切なくも安らぐような気分、郷愁に似た匂いを運んでくる。辻内氏の一つ下という同世代感の心地よさも、勝手にそう思わせるのかもしれず…。2016/04/22

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