内容説明
“光の山”が人生を奇跡に変えた!決死の生還を果たした男を待っていた思いもかけぬ殺人容疑―NZ随一の名峰アスパイアリングに鎮魂と再生への祈りが谺する。
著者等紹介
笹本稜平[ササモトリョウヘイ]
1951年、千葉県生まれ。立教大学卒。出版社勤務を経て、2001年『時の渚』で第18回サントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『太平洋の薔薇』で第6回大藪春彦賞を受賞。ミステリーや冒険謀略小説をはじめ、警察小説、山岳小説の名手として絶大な人気を誇る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
43
時期的にマッチングし 臨場溢れる読書を楽しめた。2つの軸がゆっくり螺旋を描くように展開・・司法と遭難。 アスパイアリングでの遭難事故、企画したツァー会社のガイドが死亡事故への責任を問われる。管理者が死亡した事でガイド森尾の保険金詐欺の疑いが。告発したのは遥かバルセロナの元法曹界重鎮。管理者の元妻美佐子、追い詰める湯沢、擁護に手をこまねく岸田、そして生還者の支援。 時間が行きつ戻りつする中で、冗漫とも感じるほどの綿密な描写が続く。現代の色々な問題が余りにも詰め込まれボリュームとも相まって満腹の読後感。2014/02/26
ntahima
27
【市図書6】タイトルを見た時は南極モノかと思ったが、実はニュージーランドが舞台の山岳・法廷ミステリ。かの地は私が初めて訪れた外国であり、友と二人テントを担いでひと月余りさすらった地だけに期待に胸ふくらむ。登山場面と取り調べ場面がカットバック方式で挿入される。読後感はビミョウ。ミステリの部分は結論が直ぐに見えてしまう。謎らしい謎もないというか、どんでん返しがないのが最大の謎。舞台もニュージーランドである必然性が感じられない。期待している作家だが『還るべき場所』の出来が良過ぎて期待値が爆上がり!次は『分水嶺』2015/08/05
ゆみねこ
25
ニュージーランドで山岳ガイドを務める森尾は、天候急変と落石と言う不運に見舞われながらも、仲間と顧客の半数を失い半数を救った。自らも危険を冒しながら助けた命があったにもかかわらず、殺人罪で告発され、保険金詐欺の疑いもかけられる。山岳救助のシーンはいつもながら息詰まる筆力で面白かったが、今回は罠にはめた人物が特定できていたし、わざわざそこを絡めなくても良かったかな?2013/01/27
あずき
23
主人公の森尾は山岳ガイドをしている。ニュージーランドのアスパイアリングでのツアー登山中に、落石とまさかの天候悪化で遭難事故が起こりツアー客とガイドが遭難死。その後森尾は保険金を狙う未必の故意で殺人罪に問われる。迫力の登攀シーンと、探り合いの取り調べが交互に描かれ興奮が休む間もなく読み進む。ニュージーランドの山の美しさが伝わり、人の強さを知る。やっぱり笹本さんの小説は面白い。2018/03/10
それいゆ
19
お決まりの遭難場面に焦点を当てた山岳物語かと思い、気が進まないままに読み始めましたが、思いもかけなかった掘出し物でした。未必の故意による殺人事件がからんだ私の大好きな展開のパターンに大喝采です。遭難のシーンも検察官による取調べ、公判のシーンもすごい臨場感があって、一気読みでした。登山家の人たちには批判されるかもしれませんが、遭難のリスクが常に存在する危険な登山をする人たちの気持は、私には到底理解できません。毎年恒例のように冬山遭難のニュースが報道されています。山を舐めた人たちだけの責任なのでしょうか?2013/01/15