産声が消えていく

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 368p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784396633035
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

“いかなる患者も診る”という診療方針を掲げる希望会総合病院。医療関係者からは異端と見られ、ハードな研修制度で知られるこの病院に、志あふれる産婦人科医・菊池堅一は入職した。しかし現実は甘くなかった。医師不足、過重労働、そして理不尽な医療訴訟。過酷な労働環境は、精神的にも肉体的にも菊池を疲弊させていく。そして、菊池に降りかかった事件。入院患者の分娩中に救急産婦の治療が重なり、新生児に障害を残してしまったのだ。人手のない夜勤中での出来事だったが、菊池は適切な治療を怠ったとして、一億を超す支払いを求める訴訟を起こされる。菊池に過失はあったのか?最前線で奮闘する現役医師が医療崩壊の実態をあますところなく描いた渾身作。

著者等紹介

太田靖之[オオタヤスユキ]
1961年、東京生まれ。フィリピンのBicol Christian College of Medicineを卒業後、インターン研修を経て、92年、フィリピン共和国医師国家試験に合格。94年、アメリカ合衆国医師国家試験に合格。その後帰国し、名古屋徳洲会病院産婦人科医長を経て、現在はフリーの産科医として日本全国を飛び回っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まりちゃん

10
図書館本*自身も産婦人科医の筆者が綴る周産期医療の医師不足、過重労働、理不尽な医療訴訟。過酷な労働環境に精神的にも肉体的にも疲弊していく菊池や周辺の人々。私は医師ではないけど、事務職で医療に携わっていたからか、読みながらも現場が眼に浮かぶようだった。病院の中で唯一、生命の誕生を扱う科ながらも手がかかる割に採算が取れない科としてぞんざいに扱われ、少子化の皺寄せもあり産婦人科閉鎖も増えているが、安心して子供を産める環境はなくなってほしくないなぁ。。。2019/06/08

まめねこ

8
医師も一人の人間で、ベストエフォートで治療をしてくれるけれども、上手く行かない場合もある。その上手く行かない理由が、病院の体質だったり、環境だったり、仕組みだったり・・・医師のせいではない部分にあると、その医師が報われないので辛い。病院で命がけで子供を産んで、辛いことが起きた時、その原因の一つが病院にあると思った時、その辛さを医師にぶつけたいと思う気持ちは痛切に分かる。でも、医師は医師で懸命に頑張ってくれているからこそ、お互いに納得出来る環境が欲しいと思う。2017/02/10

柊子

7
ストーリーは可もなく不可もなくだが、様々な出産の場面、それぞれに興味深く読めた。男のような川辺夕子医師が面白く、なぜか憎めない。不思議なキャラだ。2015/03/28

mawaji

3
キャリアはとても個性的なようですが仕事の内容は同じ時代の空気を共有できているような感じで共感しながら読みました。妊婦さんに跨ってクリステレルとか懐かしいですがもちろん今ではもうありえないことでしょう。「当直という名の夜間労働」は辛いというよりは確かに「学び、技術を習得できる嬉しさが勝っていた」ように思います。今でも「病院としての機能は医師個人の努力によって支えられてい」るのでしょうし「戦いを続けるほど臆病になる」というのも実感できます。その後導入された無過失補償制度も時代とともに見直しが必要なのでしょう。2018/05/13

mameshiba

3
臨床の現場のジレンマがリアルに描かれています。医療系の小説で、理想ばかり描いていたり、結局何が言いたかったのかよくわからない物語のようなものが多くて、つまらないなと思うけど、これは本当にリアルで読みごたえがあった。腹痛が主訴で来院して、妊娠だった肥満女性って実際いるんです。怖いんです。訴訟や医師の勤務状況なども描かれていて引き込まれるように一気に読んでしまった。大変。きっとこれからもっと大変なことになるんだろうな、このままいくと。2010/05/17

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/383423
  • ご注意事項

最近チェックした商品