内容説明
熱帯都市フィリピン・マニラは雨季の最盛期。僕(オオタ)は、ただ一人の日本人実習医として、国立北部総合病院の産科に勤務していた。昼夜分かたず、東洋一のスラム地区から次々に患者が訪れ、医師への緊急呼出しは引きも切らない。貧困と無知がもたらす想像を絶する混乱の中で、明るく逞しく生きる人々。生命の誕生、そして夥しい死。やがて僕はダンサの美少女カティーと知り合い、恋に陥ちた。だが、歓びも束の間。彼女を恐ろしい運命が襲い、僕に“緊急呼出し”が…。灼熱の異国での稀有な医療体験を、瑞々しい感性で描き切った異色の青春ドキュメント小説。