内容説明
ギロチンの露と消えたルイ16世は、本当に愚鈍な人間といえるだろうか?マリー・アントワネットとのセックスレスの原因は、いったいどこにあったのか?国王夫妻に対するイメージの決定的な転換は、どの時点で起きたのだろうか?―民主的過ぎたがために殺された君主から見た、もう一つのフランス革命史。
目次
第1部 死と生(潔い最期;多難な幼少時代;新たな運命;政略結婚)
第2部 アンシアン・レジーム(二〇歳の国王;行き詰まる改革;アメリカの夢;革命前夜)
第3部 革命の嵐(終わりの始まり;激流のごとく;革命の進行;ヴァレンヌで終わった逃走劇;勝負の終わり)
著者等紹介
ヴァンサン,ベルナール[ヴァンサン,ベルナール]
米国史と文明を専門とする歴史家。オルレアン大学名誉教授。伊ヴェネチアのカ・フォスカリ大学でも講座を持つ。フランスのアメリカ学協会元会長。米国を中心とする18世紀の歴史に関する多数の著書がある
神田順子[カンダジュンコ]
フランス語通訳・翻訳者。上智大学大学院博士課程前期修了(フランス文学専攻)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mana
3
ルイ16世を意志薄弱で王妃の尻に敷かれていたという世間のイメージから解放する本。惣領冬実さんのマリー・アントワネットの参考文献にもなってた気がする。ここで描かれるルイ16世はインテリタイプで民主的。マリー・アントワネットに対しても私生活では好きにさせたけど、政治に対しては口を挟ませなかった。ただ、じゃあルイ16世が完璧だったのかというとそんなことはなく(フランス革命という結果では完璧と描くわけにもいかないだろうけど)、高等法院の権限復活とか首飾り事件のローアン司教を公開裁判にかけるだとかのミスもしている。2017/10/26
kei
3
歴史とは、歴史家が作り上げたフィクションなのかもしれない。蒐集した資料から、何をどう読み取るのか?史実は歴史家のフィルターを通して作り上げられている。本書が語るルイ16世の人物像は、これまでの評価とは雪と墨ほどの違いがある。2012/08/25
欅
1
善良と世評には関係がない。あるいはこの本はルイ16世のイメージを回復させる為にその善良さを強調している。花よ蝶よと育ったアントワネットでは取り付く島もなかったのかもしれない。それでも僕は彼に、アントワネットによって愛されて欲しかった。生まれる場所を選ぶ事は出来ない。彼は逃れようもなくルイ14世の、王政のカルマの後継だった。ルイ14世の後悔が彼に華美を軽視させ、彼は知の世界を求めたが、アントワネットが求めたのはそれを軽視する一日の華美の世界だった。何かを軽んずるという態度こそが、あらゆる不幸の源泉となる。2016/02/11
魑魅魍魎
1
ルイ16世を「暗愚で優柔不断な王」ではなく,「英明で民主的な王」として描く伝記.自らの民主性と優しさが周囲とズレ,取り返しが付かなくなっていく様子がよく分かる.読み物として読みやすく,また,出生ではなく,処刑から始まる章立ても面白い.悲劇の王,ルイ16世へのイメージ革新を迫る一冊.2011/08/05
もいんちゃん♡
1
プティフスのに比べると、ライトで読みやすい。ただ、ルイの人柄はよく出ていると思う。本来ならば時国王にならなかった順位のひとだったのに、不幸があいついで王太子になってしまった。境遇も時代もがあつらえられたように不幸だった。あの時代でなければ、国王ではなく普通の貴族であったなら、きっと幸せな人だっただろうと思うと涙が出てくる。2011/06/12
-
- 和書
- 現代アート10講