内容説明
父も姉も亡くした宇治の中君が匂宮の元へ移ることになり、薫は後悔の念に駆られる。恋の苦しさを描き出す傑作「宇治十帖」、クライマックスへ―。
目次
早蕨
宿木
東屋
著者等紹介
林望[ハヤシノゾム]
1949年東京生まれ。作家・国文学者。慶應義塾大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授等を歴任。専門は日本書誌学、国文学。『イギリスはおいしい』(文春文庫)で日本エッセイスト・クラブ賞、『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』(ケンブリッジ大学出版)で国際交流奨励賞、『林望のイギリス観察辞典』(平凡社)で講談社エッセイ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひさしぶり
25
男も女も後ろ盾のない婚姻は余程避けたいよう。又同時に思いを遂げれない方との生活は辛い。物の怪は今でいう簡単に治らない病で医療が整わぬ世では神や仏にすがる。いっそう神や仏に帰依する。浮舟、薫、匂宮、中君、中将の君いずれも自らの意と違う暮らしを強いられていると同情するけれど、帝の娘の女二の宮や夕霧の娘六の君なんか正室なのに立場ないやんか。次はラスト一冊。2020/03/26
colocolokenta
23
薫と匂宮、それぞれのおじいさん頭中将と源氏に比べるといかにも残念。まあ、2人とも二十代半ば、恋の駆け引き今も昔もこんなものか。女三の宮の降嫁あたりから、物語がずっしり重くなっている。別の作者の手によるように思えてしまうが、全体のストーリー展開からこの物語は無くてはならなかったのだろう。裏を返すとこのことが、源氏物語の完成度の高さを示している。三世代もみれば、人の愚かさが繰り返されることがわかる。あれほどいじらしかった姫たちも、自分たちがたどった道を娘たちに歩ませる。いよいよ次は最終巻、大団円となるのか。2015/11/06
tom
17
想い人と死に別れた薫君。以来、想い人のことが頭から離れない。うじうじと彼女のことを思い出しては泣いていた。そして、あるとき、薫君は想い人に腹違いの妹があることを教えられる。この妹は想い人にそっくりだったから、薫君は困ってしまった。でも、平安貴族だから、あっという間に妹のところに乗り込んでいき、かっさらって宇治に連れていく(ほとんど拉致)。はてさて、これから薫君と妹はどうなっていくのか。最終巻の10巻が楽しみ。それにしても、7巻までの女漁りの光源氏とはずいぶんに雰囲気の違う展開。驚きながら読んでいる。2024/04/18
shimashimaon
7
前巻では実感の沸かなかった、実家という後ろ盾のない女性の立場の弱さ、憂苦がよくわかる巻でした。中の君はもちろん、浮舟の扱いに怒り心頭の母中将の君に同情します。その夫、常陸介周辺の田舎臭さとの描写がたいへん面白い。そして決して公卿に列することのない決定的な身分差。それを薫・匂宮の立場から目の当たりにして圧倒される中将の君。薫に魅入られ宇治に落ち着く浮舟一行だけれども、この先の物語は悲劇なのですか?さあ遂に最終巻。とても気になります。大切に読みたいと思います。2022/12/14
Emi
6
匂宮のせいで途中ハラハラさせられるところがあったけれど、ちゃんと薫が姫と出会えてよかった…最後拉致されて行った時はこの後どうなるか、姫には申し訳ないけど少しワクワクしてしまった。こうなったら最後の十巻まで見届けようではないか!!!2020/02/28