内容説明
自分が描いたということにこだわらなかった「鳥獣戯画」の作者たち。人も文字もデザイン化された白描画の快楽。「伝源頼朝像」を見た時のがっかり感の理由。終生「こけつまろびつ」の破綻ぶりで疾走した雪舟のすごさ。グーグルマップに負けない「洛中洛外図」の空間性。「彦根屏風」など、デッサンなんかクソくらえと云わんばかりのヘンな絵の数々。そして月岡芳年や川村清雄ら、西洋的写実を知ってしまった時代の日本人絵師たちの苦悩と試行錯誤…。絵描きの視点だからこそ見えてきた、まったく新しい日本美術史。
目次
第1章 日本の古い絵―絵と絵師の幸せな関係(鳥獣戯画;白描画 ほか)
第2章 こけつまろびつの画聖誕生―雪舟の冒険(こけつまろびつ描いた雪舟;なぜ雪舟は邪道を選んだのか―「破墨山水図」 ほか)
第3章 絵の空間に入り込む―「洛中洛外図」(単なる地図ではない、不思議な絵;とっつきやすさの「舟木本」 ほか)
第4章 日本のヘンな絵―デッサンなんかクソくらえ(松姫物語絵巻;彦根屏風 ほか)
第5章 やがてかなしき明治画壇―美術史なんかクソくらえ(「日本美術」の誕生;「一人オールジャパン」の巨人―河鍋暁斎 ほか)
著者等紹介
山口晃[ヤマグチアキラ]
画家。1969年東京生まれ。群馬県桐生市に育つ。1994年東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。1996年同大学大学院美術研究科絵画専攻(油画)修士課程修了。大和絵や浮世絵を思わせる伝統的手法を取り入れつつ、時空を自由に混在させ、人物や建築物などを緻密に描き込む作風で知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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