内容説明
三十代となった源氏。最愛の藤壷の死を経て、豪華絢爛たる栄華の日々が訪れる―。待望の第四巻。
著者等紹介
林望[ハヤシノゾム]
1949年東京生まれ。作家・国文学者。慶應義塾大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授等を歴任。専門は日本書誌学、国文学。『イギリスはおいしい』(文春文庫)で日本エッセイスト・クラブ賞、『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』(ケンブリッジ大学出版)で国際交流奨励賞、『林望のイギリス観察辞典』(平凡社)で講談社エッセイ賞を受賞。『源氏物語』に関する著作、講演も多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マカロニ マカロン
27
個人の感想です:B+。明石の姫君が紫上に引き取られる「薄雲」からモテ期の玉鬘に源氏が良からぬスケベ心をいだく「胡蝶」までの6帖を掲載。この本の良いところは「コデックス装」という製本で、フルフラットに開くところ。食事しながら読んでいるときにもストレスゼロ!また文中で歌の解釈や、平安貴族の習俗などを説明して一切注釈がないことも読みやすさマシマシ。また「引き歌」も全部文中に含めて書いてあるので、「源氏見ざる歌よみは遺恨の事なり」(藤原俊成)的な和歌の基礎知識なくてもわかるのがとても親切だ2024/04/29
ひさしぶり
25
藤壺の方亡くなる。冷泉帝出生の秘密知る。「須磨の海士の塩焼衣なれゆけばうとくのみこそなりまさりけれ」亭主元気で留守がいいとは言うものの女子の所に行くのは邪推もしますわな。源氏のいちいちの言い訳が妙に笑える。右近が長谷寺詣りで偶然再会した夕顔の落胤の姫の養育について〈私邸で立派に育ててあちこちの色好みたちに七転八倒の恋慕の苦悩でも味わせてやることにしよう〉おいおい貴方がよろめいてどうする! 2019/10/10
colocolokenta
20
地位も名声も得た源氏、栄華が増せば増すほど失うものもある。六条院をなし、多くの女君を住まわせるようになったものの思い通りにならないことばかり。梅壺中宮に玉鬘。当世風の言い方をすれば、かつては嫉妬で左遷された源氏、返り咲いてトップにたったはいいが、気がつけば年も地位もすでにいいおっさん。何をしてもハラスメントで、にっちもさっちもいかなくなっている。若気の至りで赦されていた女漁りももうできなくなるのか。源氏36歳、人生のプラトーをどう乗り切っていくのか、この先ますます楽しみになってきた。2015/08/15
もっひぃ
15
『少女』の雲居の雁と大学の君の恋が初々しくて良かった。その話は初めて読んだ。すっかり老いを迎えてしまった花散里を思いやる優しさ、嫉妬をする紫の上に必死で弁解する際のお茶目さ、ますます光源氏を好きになる。心に残った彼の言葉“ただこうしようという心の持ちようだけをしっかり持って、表面上はなにごとも無いように落ち着いているというのが、まず見た目もよろしい”2017/03/05
tom
15
ようやく4巻目。たらたらと読み続けているのだけで、妙に飽きさせることのない面白さがあるような。そういう意味でなかなか面白い。源氏は、相変わらず女漁りをしていて、節操のないことおびただしい。自分の勝手都合で、若い女性に手を出して、何やってるのだこの野郎という感じ。でもまあバカ間抜けなところが可愛らしいのかも。それにしても、1000年も昔の人たちの行動なのに、今の世とたいして変わりないような感じがあって、なにやら不思議な気分になってしまう。2016/10/24