宮大工千年の知恵―語りつぎたい、日本の心と技と美しさ

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  • サイズ B6判/ページ数 226p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784396611095
  • NDC分類 521.81
  • Cコード C0095

出版社内容情報

もしも五重塔や本堂の「軒(のき)の線」が真っ直ぐな直線だったとしたら、はたしてそれらの建物に美しさをお感じになるでしょうか。伝統的な日本の社寺(しゃじ)建築の美しさの根源は、端(はし)に近づくにしたがって緩(ゆる)やかに反(そ)っていく、華麗な「軒反り(のきぞり)」にあります。そして、昔の大工の知恵と技術が一番詰まっているのも「軒反り」なんです。コンクリートや鉄骨であれば、どんな曲線を作るのも自由自在でしょうが、木を組んで美しい曲線、「軒の反り」を出すにはとても高度な技術が必要になります。(まえがきより)――文化財専門の"最後の宮大工"が語る、日本の伝統技術の素晴らしさ。(祥伝社販売課大胡田オススメの一冊)(祥伝社販売課石原オススメの一冊)語りつがれる英知と伝統。後世まで末永く伝えたいものです。



 文化財専門の最後の宮大工と言われる筆者が、全国各地の国宝や重要文化財建造物の修理工事から得た昔の宮大工の建築術について、概説した好書である。

●知識の様々なかたち
知識にはどのような種類があるのか。言表可能な、理論化された知識をはるかに超えた、広大な知識のスペクトラムを紹介し、知識科学がとらえようとする対象の複雑さと豊かさを明らかにする。

 知識とは何か。どのような種類があるのか。いかに表現されるのか。いかに伝達されるのか。
 人工知能、認知科学、脳科学の成果を結集しても、こうした疑問に対する最終的な答えはまだ出ていない。知識とそれを取り巻く現象の体系的な理論はまだ存在しない。だから、単なるキーワードとして、一時のはやり言葉として、「知識」を終わらせないために、知識のあるゆる実践の分析と、そのメカニズムの体系的理解が要求されている。

内容説明

「木を生かす」という、昔の大工の知恵を今の日本人に伝える。

目次

1章 雀と大工は軒で泣く―鎌倉・室町に花開いた、日本的「美」の曲線(五重塔―美しさの秘密;日本的「美」に、いかに「軒反り」が重要か ほか)
2章 木造建築に秘められた日本人の英知―なぜ古建築は千年の命を持ちえたのか(ヒノキだけではない、古建築の素晴らしさ;礎石と柱―湿気を逃がす工夫 ほか)
3章 「木の文化」は、なぜ衰えつつあるのか―文化財を守る修理、壊す修理(「木を生かす」ための、さまざまな知恵;ずぼらな仕事が横行するようになった理由 ほか)
4章 旅回りの「渡り棟梁」―古き良き“職人の世界”(私の原点―平等院鳳凰堂;紀三井寺で出会った恩師から学んだこと ほか)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

マッピー

11
日本の家は紙と木でできている。だから日本建築は長持ちしないし、火事になったらひとたまりもない。だけどきちんと管理して、痛んだところを修復しながらその姿をとどめている建築物だって、もちろんあるのだ。木の国日本だからこそ生まれた、木造建築の知恵と技術。釘を使わず、木を組み合わせることによって造られた建物は、強い力を受けた時に力を逃がす遊びの部分が生まれる。外れることがないくらいしっかりと、しかしいざという時に遊びができるくらいの余裕ができるのが木造建築のいいところ。知れば知るほど奥が深い、日本建築。2018/01/25

NOYUKI

5
『屋根屋』を読んで、寺社建築に興味を持ったので、手に取りました。中世建築好きの棟梁の四方山話。人間の手には不思議な力がある。説得力があります。本当にお好きなんだなーと思いました。こういうのは気持ち良い。2014/11/02

subabai

2
宮大工に憧れを持った時期があった。大学時代にとあるお寺を訪ねた時だ。修復工事中の幕の内側で作業をする人達はすごくカッコよかった。 物事を始めるのに遅すぎるということはないかもしれないが、職人の世界はやはり早い方がいい。宮大工という職業は現代では中々お目にかかれない。色んな世界を見ることは自身を豊かにしてくれる。 語り口調で綴られた本文は読んでいてとても心地よかった。理論だけではない経験から生まれる技能と、なぜという疑問を持って仕事をしている様子を感じられた。時代を超えた仕事をする宮大工。やはりかっこいい。2022/07/08

方々亭

2
日本全国の寺社建築の修理に携わってきた宮大工による、古来からの日本建築の技術がどう優れているのかを綴った本。日本の寺社建築で一番美しいのは軒の反りで、中国や西洋とは異なる日本独自の美意識が込められている、という話から始まる。この反りの美しさって寺社建築だけでなくて、小学生の時に作った軍艦のプラモデルでも感じてた。1/700スケールのウォーターラインシリーズの、最上型なんかの重巡洋艦。主砲付近から艦首にかけての甲板のラインがなんとも優美で好きだった。2022/04/14

林芳

1
慣れない言葉も出てくるので、丁寧に読んでいきました。そして、興味深い内容ということも丁寧に読んだ理由です。いつから「効率」という言葉が生まれ、それが至上のことように思われだしたのだろう。そういう発想で物事を見るのをやめてみたいと思うものの、その瞬間からそれに振り回されるのだろう。だからこそ、「効率」というものが念頭になかった時の日本人の物事の取り組み方を知る機会を増やしていきたいなと思います。2023/01/23

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