内容説明
戦争は政治の継続であり、外交の一手段である。だから国家はそのための戦略と戦術を設計する。だが戦略的思考の乏しい日本人は、戦争を「善悪」や「個人の良心」レベルでしか考えられない。在韓米軍の撤退、中国の台湾侵攻、さらに日本の核武装まで想定される今、「戦争を設計する」という発想こそ不可欠なのだ。―先駆的戦争論、ここに甦る。
目次
第1章 人間は、なぜ戦争をやめられないのか―戦争を「善悪」や「良心」のレベルで捉える愚かさ(戦争とは、外交の一手段である;平和愛好家が「戦争屋」を育成する)
第2章 「戦争常識」の非常識―歴史の分岐点は、ほんの些細なことで決まる(はたして「歴史は必然」なのか―戦争突入の分岐点;軍隊の危機―「機能集団」の「閉鎖集団」化 ほか)
第3章 「失敗の教訓」としての大東亜戦争―歴史的事実を考察する時、何が重要か(通説を盲信する危険;最大の嘘―「東京裁判史観」 ほか)
第4章 戦争とは何か、「戦争設計」とは何か―平和国家だからこそ「戦争設計学」の確立が急務(戦争は「政治の継続」である;なぜ今「戦争設計学」が不可欠なのか)
著者等紹介
日下公人[クサカキミンド]
昭和5年兵庫県生まれ。東京大学経済学部卒業後、日本長期信用銀行入行。同行取締役、(社)ソフト化経済センター理事長を経て、現在、東京財団会長、三谷産業(株)監査役。ソフト化・サービス化の時代をいち早く先見し、日本経済の名ナビゲーターとして活躍
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感想・レビュー
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Humbaba
17
債権を多く持っているということはいいことばかりではない.他国にとっては借金をしているということであり,日本が崩壊すればそれが帳消しになるということでもある.物事にはメリットとデメリットがあるので,それをよく意識しておくことが必要になる.2013/04/14
おっとっと星
4
タイトルが間違ってる。『どうすれば日本は世界第二次大戦時の戦争を含めた政治的駆け引きに勝つことができたか』というタイトルが相応。敗戦後、悪の民族だったような日本人の扱われように納得いかないのは分かるが、他の国も侵略したのに日本だけ悪者扱いされる筋合いはないだとか(60)、「(日本は)“戦争はやりたくない”と思っているから、いざはじまると自暴自棄の戦い方をする。それに対し、アメリカ人は戦争を設計する」(235) 等、戦争は政治の延長で戦略的にしなければといった主張は、平和ボケよりはマシだが進歩的でない。2010/08/10
ひろむ
3
昔、読んだのですが改めて考慮したく……。2017/02/09
Ayano
2
この本を読むといかに日本人が「平和ボケ」をしていて「軍隊」「自衛隊」を特異なものとしてみているかがよくわかる。 この本で1番学んだことは、国家組織に保管されている文書なども改竄されている可能性がある!ということだった。様々な物事を、事実は事実として、虚偽は虚偽として考察して適切に判断する力が日本・日本人に求められていると感じた。 2009/01/29
tonsuke
0
ふぅ~というかんじ。タイトルの内容じゃなかった。太平洋戦争の真実はこうだ!といった感じですが、前回読んでいたハルバースタム著の朝鮮戦争を読んだ後なので、特にそう感じたかも。この事実はうそである!とか言い切っているけど、その裏づけの説明とかインタビューとかがないから、ちょっときつかったぁ。反米・保守派の論客・・・?2014/02/19