内容説明
又兵衛は三回、おいせは一回。日本橋堀留町の会所の管理人をしているふたりは、離縁の玄人とうそぶいては近所の家族の面倒を見ている。今日も夫義助の暴力に耐えかねた女房おなかと子供を会所にかくまった。腕のいい昔気質の畳職人だが、仕事のしくじりを押し付けられ、酒浸りとなったのだ。又兵衛は離縁をちらつかせ、義助に再起を迫るが…。珠玉の人情小説。
著者等紹介
宇江佐真理[ウエザマリ]
1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第七十五回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第二十一回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第七回中山義秀文学賞を受賞。15年11月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Y.yamabuki
21
会所の管理人の又兵衛とおいせ夫婦が、持ち込まれる揉め事を解決していく連作短編集。宇江佐さんの短編集は切ない話(それはそれで好き)も多いけれど、これはいずれの話も上手く収められ、安心して読める一冊。この夫婦が良い味をだしていて、温かく、根っからの悪人も出てこない。こう言うの読みたい時がある。 2023/12/19
じぇりい
6
髪結伊佐次シリーズが大好きだった宇江佐真理さん。江戸市井に暮らす人々の機微を気持ちよく読ませてくれる作家さんだが、久しぶりに新装版で書店に並んでいたので手に取った。又兵衛とおいせ夫婦の管理する堀留町会所には今日もさまざまな悩み事が持ち込まれる。そしてそれらを放っておけないのが人情というもの。そうやって知り合った人々の縁こそが財産だと気づく又兵衛だがそれは現代にも通じるものがある。2023/05/19
ぺしみち
1
お武家の小姑にキーッてなった。援助が欲しいなら、それはそれで、もっとうまくやればいいのに。2023/06/02
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