内容説明
先の補欠選で担がれただけの市議が、東京郊外の自宅でひっそりと死んだ。現場に不審な形跡はなく、しいて言えば座布団がきれいに並びすぎていたくらい。医師の診断も「急性心不全」。しかし卯月枝衣子警部補二十九歳が、あわよくば本庁栄転の足がかりにと、昼行灯の刑事課長を説き伏せ勇躍単独捜査に乗り出すと…。軽妙な語り口が意外な真相を炙り出す驚嘆のミステリー。
著者等紹介
樋口有介[ヒグチユウスケ]
1950年、群馬県生まれ。業界紙記者などを経て、88年『ぼくと、ぼくらの夏』で第六回サントリーミステリー大賞読者賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カブ
39
警察小説が嫌いな作家による警察小説。殺人なのか、ただの自然死なのか。自殺なのか殺人なのか。ゆるゆると物語は始まっていく。主人公の女刑事より他の登場人物がユニークすぎて笑える。2021/07/05
ぶんぶん
14
【図書館】「変わり朝顔」「初めての梅」をかなり前に読んでいて、初めての現代劇を読んでみた。 あとがきで「でっち上げ」の事件を目論む女刑事という設定が面白く、読んでみる気になった。 結果は・・・面白かった。 語り口が読み易くグングン惹きこまれる。 二転、三転するストーリーが益々深みに引き寄せる。 事件が解決して、果たして本当の犯人はと、考えさせられる。 樋口祐介、どこまで物語に引きずり込むのか、面白い。 次作の「礼儀正しい空き巣の死」もリクエストしてしまった。2021/10/01
クキモン
13
自宅で亡くなった市会議員の死に疑惑を持ったのではなく、何とか事件にして出世しようとする女性警部補が主人公。年上の男性警察官を手玉にとる野心家の反面、恋人には手作りの糠漬けや自家製ピザでもてなす一面も。女性からみても魅力的なキャラです。警察小説が嫌いだと言う著者ですが、なかなか本格的な警察小説でした。2025/05/24
Jimmy
4
樋口キャラをなんと3人に分散させてのお遊び企画。なかなか深い闇が濃い物語ですが、絶妙なタイミングで手がかりが見つかって飽きさせないプロットはもう絶妙。2021/05/04
けん
3
市議会議員の死を殺人事件にならないかなーと思う女性刑事。女性刑事と現場近くのアパートの男のそれぞれがいい味を出していて2倍楽しめた感じです。いい女と男の素敵な会話に惹かれてしまいます。2021/12/16