内容説明
反体制劇で著名な劇作家・ギジと知遇を得た新鋭・内藤岳は渡独し、教えを乞う。岳が補佐することになった三十年ぶりの新作翻案劇『R/J』は台本未着のまま、公開稽古が始まった。その舞台上、何者かにすり替えられた小道具で女優が腹部に刺傷を負う事件が発生、ギジ本人は失踪した―。演劇研究者の桐山と足取りを辿ると、ギジの車から台本の一部が発見され…。
著者等紹介
乾緑郎[イヌイロクロウ]
1971年、東京都生まれ。鍼灸師の傍ら、小劇場を中心に舞台俳優、演出家、劇作家として活動。2010年、『忍び外伝』で第二回朝日時代小説大賞を受賞、同年10月『完全なる首長竜の日』で第九回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶうたん
5
意外と読んでいて4冊目。著作としては伝奇など多くも出しているが、本書はリアリズムに貫かれた一編。ただし題名から想像するようなハードボイルドな方向には行かず、演劇とベルリンの壁崩壊を組み合わせて、モラトリアムな主人公の遅い青春を描くような作品になっており、存外淡白な味わい。何より主人公の行動が受け身かつ行き当たりばったりで、ストーリーを駆動させるようにはなっていないので、ちょっともっさりしている。最後はちょっとした活劇になりかけるが、もとからそういう方向を目指していないので、あっさり収束して終了。2021/11/10
しんこ
0
読み始めはこのままだらだらと行くのかなーと思っていたら後半で急展開!芸術家としての才能に、DDR時代の闇、愛し合っていたはずのふたりの話と盛りだくさんすぎて忙しかった~。2020/07/27
杜杜
0
紙で購入2020/06/03