内容説明
立花平七郎は懇意の酒屋での聞き酒会の最中、巾着切りの少年を捕らえた。身元を質すと、父親は八丈島に流されていてひとり暮らしだという。諸色問屋の手代頭だったが、暗闇の中、賊と間違えて主の弟を刺し殺したのだ。平七郎は自分が取り調べた一件だったと驚く。少年の住まいを確保した直後、恩赦の報せが届き、父子の再会を果たしたのも束の間…。
著者等紹介
藤原緋沙子[フジワラヒサコ]
高知県生まれ。立命館大学文学部史学科卒。シナリオライターとして活躍する傍ら、小松左京主宰の「創翔塾」で小説を志す。2013年には、「隅田川御用帳」シリーズで第二回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やま
111
橋廻り同心・平七郎控シリーズの14作目。2020.01発行。字の大きさは…中。 橋廻り同心・立花平七郎は、橋の点検をしながら事件を探索し、悪を退治する。 【紙人形】吉兵衛が金に困り他人の家に入り金を盗むと、そこの女主が刺そうとしたが裾を踏み…。 【風よ哭け】丸子屋の主人夫婦の殺しの罪を被り、八丈島へ遠島になっていた手代頭・喜久蔵が御赦免で…。 吉兵衛の娘・おちよ5才は、可愛く、ひたすら父を待つ姿がいじらしい。喜久蔵の息子・仙吉13才が父の仇を討つ場面は胸にじ~とくる。 平七郎の心配りに胸を打たれる人情物語2020/03/01
kei302
57
大きめの文字で読みやすい。 橋廻りをしたり、捕物をしたり、出来の悪い定町廻り同心の教育係をしたり、平七郎は大忙しです。 八丈島での辛い生活を表す「風よ哭け」、せっかく戻ってこれたのに…。 風が強い日、橋の上に立って父親を偲ぶ姿が健気で泣ける。2022/01/26
ベルるるる
22
平七郎たち橋廻りに押し付けられた落ちこぼれの同心二人がなかなか真面目に働いている。これなら見込みがあるね。2020/03/03
ひさか
6
2020年1月祥伝社文庫刊。書き下ろし。シリーズ14作目。紙人形、風よ哭け、の2つの連作短編。平七郎が、奉行所内で、認められて来たのが嬉しい。話はいつものような展開だが、少しずつでも良い状況に進んでいるのが良い。2020/08/23
どきん
3
紙人形。風よ哭け。物語の先が読めてしまう。2024/11/14