内容説明
大気を打ち震わす轟音が、徳川御三家尾張藩屋敷に響く。駆け付けた新人火消の慎太郎が見たのは、天を焼く火柱。家屋が爆ぜたと聞き、慎太郎は残された者を救わんと紅く舞い踊る炎に飛び込んだ―。新庄藩火消頭松永源吾は、尾張藩を襲った爆発を知り、父を喪った大火を思い出して屈託を抱く。その予感は的中。源吾の前に現われたのは、十八年前の悪夢と炎の嵐だった。
著者等紹介
今村翔吾[イマムラショウゴ]
1984年京都府生まれ。ダンスインストラクター、作曲家、埋蔵文化財調査員を経て、2017年、火消の活躍を描いた本シリーズ第一作『火喰鳥』でデビュー。『童の神』が第一六〇回直木賞候補に。20年、『八本目の槍』で吉川英治文学新人賞を受賞、『じんかん』が第一六三回直木賞候補となる。今最も活躍を期待される歴史時代作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
369
『黄金雛』は、エピソード0というよりも、今作の上巻だった。そしてこれが中巻。おそらくこうだろうと予想していた通りの幕開けから、意識的に前作をトレースしたような流れが続き、いよいよ終盤で伝説の火消が姿を表し下巻へ。そんな中、随所に源吾と深雪のいちゃつき(笑)があって微笑ましい。過去との重ね合わせていう点では、慎太郎と藍助も重要な役割を担っており、奮闘してはいる。しかし、源吾が担った立ち位置に慎太郎というのはどうも…。大幅に人物補正が入りつつある、進藤内記の出番も多く、下巻での動向が気になる。2022/06/25
しんごろ
336
歴史はくり返すのか。18年前の大火を彷彿させる今回の火柱の大火。そして再び火消し連合の結成。18年前の鳳凰の男。鳳凰を受け継いだ源吾。まさに因縁とはこの事。源吾の悲痛な叫び!しかし源吾の父、重内はもういない。あの鳳凰の男は何を隠して何を考えているんだ。そして18年前にボタンを掛け違えた菩薩とのわだかまりは解けるのか。唐傘童子の正体も気になる。一方で深雪のぶれない食事の決まり事、これは笑える。一気に下巻まで読みたいところだが下巻がない。下巻の発売まで待てば良かった。失敗した(苦笑)2020/09/05
海猫
291
刊行ペースが早かったこのシリーズも、今回は間が空いた感じ。前回が零巻だったし、9巻からこの10巻まで一年以上経ってる。そのぶん、これまでの積み重ねが効果的な展開に生かされているように思う。ぼろ鳶組だけでなく、他の火消したちも立っていて、人物が出たり入ったりするだけでワクワクする。火消しの世代感も零巻のおかげで、良く出ていた。今回対峙する火災がまた変わっていて、炎の質がなんか違うらしい。気になる。ドラマにエンジンが掛かってきて、盛り上がったところで上巻終了。うーん、引っ張られるとなおさら早く続きが読みたい。2020/09/02
旅するランナー
279
羽州ぼろ鳶組⑩。零:黄金雛から繋がる、火消しの歴史の潮流を感じる壮大な物語。過去からの遺志は今に受け継がれ、現在からの意志は未来に託される。吹き上がる炎と共に繰り広げられる、男たちによる混沌とした闘いが、僕たち読者の気持ちを高ぶらせる。怒涛の展開に呑み込まれ、いざ下巻を喰ってやる。2021/02/22
いつでも母さん
230
ふぅ・・次は、次は?なんて期待を裏切らないシリーズなんだろ。今村さんが憎いですね~(褒めてます!)シリーズ初の上下巻。下巻を待って満を持しての読書。やっぱり面白い!!そうとしか言えない。あれやこれや、それもどうなる?色々とスッキリ回収してくれるだろうと、昂る気持のまま、いざ下巻へ。2020/11/06