内容説明
京の淀藩常火消・野条弾馬は、己が目を疑った。大火の折に生まれ激甚な災禍をもたらす炎の旋風“緋鼬”が大坂の町を蹂躙していた。続発する緋鼬に、それを操る何者かの影を見た弾馬は、新庄藩火消頭取・松永源吾に協力を頼む。源吾は、天文学者でもある風読みの加持星十郎らを連れ大坂へ。しかし、ぼろ鳶組は、炎の怪物を眼前にすると大きな挫折を味わうことに…。長編時代小説、書下ろし。
著者等紹介
今村翔吾[イマムラショウゴ]
1984年京都府生まれ。ダンスインストラクター、作曲家、埋蔵文化財調査員を経て、専業作家に。「蹴れ、彦五郎」で第十九回伊豆文学賞最優秀賞、「狐の城」で第二十三回九州さが大衆文学賞大賞・笹沢左保賞を受賞。「羽州ぼろ鳶組」シリーズ第一作『火喰鳥』でデビュー。『童の神』で第一六〇回直木賞三十五賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
424
お江戸の火消しはもちろん、大阪の火消しも京都の火消しも、火消し魂は一緒!誰かが音頭をとれば心はひとつ!源吾、かっこいいぜ!一橋家、土御門が政が絡みどうなるのか。ぼろ鳶組が翻弄されないように祈るだけ。気になるキーワードもでてきて、どうなることやら。次作が待ち遠しいよ~。2019/08/17
W-G
351
京に続いて大阪へ。上方が舞台になると特に読みごたえが出る。再登場の弾馬の背景が描かれ、新たに登場した大阪火消の面々も個性派揃い。ちょろっと出てくる土御門にもしっかり存在感があり、とにかく気になる人物が目白押し。そんな中でも、緋鼬の脅威は際立って迫力があり、この題材が加わったことで、キャラ読みで終わらせない作品となり得た。星十郎のメイン回と呼べる物語だが、お鈴との関係や、野狂との関わり等、星十郎は何気にフック盛りだくさんなので、小分けで今後も遠征がありそう。野狂メイン回が本当に楽しみ。2022/06/17
海猫
338
シリーズ9弾にして、今回は大坂遠征編。なのでぼろ鳶組のメンバーは江戸に居残りが多く、揃って出てこない。が、それ以上に大坂の火消たちの人物像が面白く、大坂の火消ルールが江戸とは違って興味深い。で、火炎旋風その名も緋鼬が生き物というか怪物のごとき恐ろしさ。火を消そうとすればかえって暴れ狂うという、たちの悪さで描写も生々しい。また、土地や立場の違う火消たちが団結していく過程はなかなか熱いものがある。この巻は加持星十郎の活躍がメインという意味でも、記憶に残る一冊となった。2019/07/17
旅するランナー
273
羽州ぼろ鳶組⑨。ぼけ! あほんだら! われ、どこのもんや。江戸の武家火消やてえ、何してけつかんねん。えっ、大坂人をびびらしとる炎の竜巻、緋鼬(あかいたち)をやっつけてくれはるのん。えー、何やて、そないなやり方ででっか。いやー、えらい賢い風読みでんな、星十郎はん! ごっつい肝の据わった御頭でんな、源吾はん! ほんまにおおきにやでえ、ぼろ鳶組!2020/09/27
しんたろー
253
遂に既刊ラスト、第9巻…これほど、読み終わるのが惜しいシリーズも珍しく、ゆっくり読もうと思ったが相変わらずの面白さでサクサクとページが進んでしまう嬉しい悲鳴。舞台は大坂で第4巻の続編的な内容…江戸と違う火消し事情の中、炎の竜巻「緋鼬(あかいたち)」に立ち向かう源吾…星十郎を中心にしつつ、京都の火消し・弾馬も色濃く描いていて嬉しい。終盤の源吾が叫ぶ大坂火消したちへの台詞も「流石、主役!」と大向こうから声が掛かりそうな胸が熱くなる名シーン。レクター博士を想起させるシーンもあって娯楽色満点、10巻が待ち遠しい♬2019/10/11