内容説明
元女優の母、元叔父さんの父、反抗期の妹、そしてヒッチコック好きのぼく。訳ありそうに見えるけれど、ぼくら安井家は平穏で普通のはずだった。それなのにある夜、母が突然、ぼくらの知らない男の人を看とると宣言した瞬間、歯車が狂い始める。母の恩人だというその人に、ぼくは会いに行く決意をしたけれど…。揺れ動く家族と少年の心を瑞々しく描ききる、成長の物語。
著者等紹介
小野寺史宜[オノデラフミノリ]
1968年、千葉県生まれ。2006年「裏へ走り蹴り込め」でオール讀物新人賞、08年『ROCKER』でポプラ社小説大賞優秀賞を受賞。著書に本屋大賞第二位、「本の雑誌」が選ぶ2018年上半期エンターテインメント・ベスト10第二位に選ばれた『ひと』(祥伝社四六判)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
相田うえお
102
★★★☆☆21036【家族のシナリオ (小野寺史宜さん)k】ヒッチコック好きの(ワンポイント:ヒッチコックとしちこく 山(隣のトトロの)は発音が似ている。)高校男子(主人公)、元芸能人の母親、難しい年頃〜中学女子の妹、AC/DC好きの父親(現)、母親と離婚した父親(元)という家族構成。本作品、家族が直面するさまざまな出来事を通して本物の家族になっていく過程を描いた感じの話かな。少々、対象年齢層が若めの設定なのかもしれませんが、大人でも十分に楽しめました。若干、ゲロい表現多用が気になりましたけどね(笑2021/04/17
おしゃべりメガネ
83
約6年ぶりの再読でした。やっぱりヒッチコックの映画が観たくなり、ハードロックのAC/DCが聴きたくなります。初めて読んだトキは割りと素直にスッと話に入れたのですが、今回は不思議と少しずつなんとも言えない違和感を抱えながら読了でした。おそらく主人公以外の家族(父、母、妹)の言動になんかこう無理を感じた気がします。物語自体はさておき、ヒッチコックの作品を話の中で激推しされたら観ずにはいられませんね。あとAC/DCは元々大好きですが、改めて初期のアルバムを聴いてみようかなと。作品の読後感自体は悪くないですよ。2025/03/21
TAKA
79
ヒッチコックが好きな主人公。元女優の母と元叔父さんの父と反抗期の妹の安井家。ある日母の恩人である元マネージャーを看とると言い家族があたふたするんだけど、家族がそれぞれ向き合って個人として成長していく話。小野寺さん二冊目なんですがこの人の描く主人公は控えめでナイーブで目立たないような感じなんですが物語の中ではめちゃ輝いてるんですよ。「ひと」読んでから好きになりました。なんてことはない日常なんですがあるある感が面白い。 メガネからコンタクトにするということは自信ができたんじゃねぇの。2022/02/19
おかむー
69
初読みの作家さん。前半モタついたけれど半ばあたりからノってきて結果好感触。『よくできました』。高校性の“ぼく”、元女優の母、元父の弟である今の父、難しい年ごろの中学生の妹。母が女優時代の恩人の死期を看取ると決めたことをきっかけに、家族とぼくはさまざまな想いに揺れ動く。ヒッチコックの映画、AC/DCの音楽をうまいこと織り込みながら、人の死に関わることや成り行きで入った演劇部で“ぼく”にみえてくるものがある。終始淡々としている“ぼく”はヤレヤレ系ではあるけれど、後半でじんわりと熱が入ってくるさまに共感できる。2020/06/26
いたろう
68
小野寺さんの小説ではおなじみ、蜜葉市みつばに住む、ある家族の物語。ひょんなことから、思ってもみなかった演劇部に入ることになった、みつば高校1年の想哉が主人公。中学生の妹、れみ、元女優の母、母が再婚して父親となった元叔父、元父は、今は伯父ということに? 母が昔出演した映画が、「ミニシアターの六人」で物語の要となった映画、「夜、街の隙間」だという繋がりに思わずニヤリ。本作では、その母の行動が、家族に波紋を起こすことになるが・・・。想哉のヒッチコック愛がハンパない。久しぶりに、ヒッチコックの映画が観たくなった。2024/04/12
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