内容説明
大介は札幌に住む小学六年生。自らの鬱憤を晴らすため、隣家に住む謎の老人が育てる痩木の花芽を削いでいた。ところが、夏休みに入るとすぐ、花はひっそりと咲いた。途端、旅支度を始めた老人。慌てた大介は、彼を追い茨城行きのフェリーに乗るも、船酔いに。学校なら囃されるが、自然に介抱してくれた大人たちに、心の殻が破れるのを感じ…。魂を揺さぶる至高の物語。
著者等紹介
乾ルカ[イヌイルカ]
1970年北海道生まれ。藤女子短期大学卒業。2006年「夏光」で第八六回オール讀物新人賞を受賞し、デビュー。10年『あの日にかえりたい』で第一四三回直木賞候補、『メグル』で第一三回大藪春彦賞候補になる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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相田うえお
124
★★★☆☆19073 小学生が夏休みに入る第1関門に、親への通信簿提出がありますが、その評価として親がどの様に助言するかは重要です。本作品の主人公である小6の少年は、親と顔を合わせれば「勉強しなさい!」 と言われる様な家庭環境やクラスでのイジメ影響などで若干性格が屈折気味。そんなところに、さらに通信簿で親に追い詰められ、隣の家のじーさんの訳あり旅に そっと くっ付く形で家出。初めは心が捻じ曲がっていた少年が、じーさんと日々を過ごすうちに少しづつ変化していくという内容です。興味深く読ませて頂きました。2019/08/13
佳蓮★道央民
45
★★★★★★★七つ星👏乾ルカさんの小説は、実は、読んだことがなくてこれは読んでて2回くらいマジで涙零しそうになりました。いやぁ、参りました。めっちゃ良かったです。大介と北海のストーリーが本当に胸に刺さりました。なんか、人間って弱くて強い生き物なんだなって思いました。大介の今後の生き方が気になります。続きが出そうな感じはするけどなぁ。大介が家族の鬱憤を感じる気持ちも分かるし、母親との関係が拗れる気持ちも共感出来たから読みながら辛いねって思いながら読んでました。本当に良い作品でした。ありがとうございます‼️2024/11/10
TATA
39
乾さんのスタンドバイミーもの。ちょっといけてない少年の札幌から長崎までの家出行。旅のはじめは嘘をついたり人の手紙を取ったりと、読んでていらっとさせられる主人公君なのですが、東京、名古屋、舞鶴と自分をしっかり尊重してくれる人と出会うことで着実に成長していく。やっぱり少年の成長のためには旅とそこでの出会いだよなと妙に納得。早くコロナが沈静化して、好きなように旅ができるようにと願わずにいられません。2021/08/29
カブ
39
時は80年代、北海道に住む小学6年生の大介と、隣に住む謎の老人北海のひと夏の経験を北海道から九州までのロードムービーのように描く。いじめられっ子の大介が旅の途中で様々な大人と出会い、優しくされたり不安な気持ちになったりしながら成長していく姿にホッとする。人は悲しく、厳しい体験をしても優しい気持ちでいられる。2020/02/09
ちえ
31
戦後70年、作者が戦争に向き合って書いた小説。舞台は80年代。クラスメートや両親に対して屈辱や怒りを抱えた小学6年の大介。人の気配が色で見える彼が夏休み、隣の老人を追い共に旅をする。札幌から途中の寄り道も入り日本を縦断するようなロードノベル。いけ好かない小6の大介が、北海さんや出会った大人たちから貰うもの。そして北海さんの過去。ミステリー、乾さんらしいホラー要素も。流しの包丁研ぎには別の本を思い出し、大介が他人に見る色からも別の物語を彷彿。東京で生まれ育った私には大介が公園で会った老人の言葉が重い。良書。2024/01/18




