内容説明
サッカー部引退を間近に控えた高校三年生の宮島大地は一度も公式戦に出場したことがない。だが、母を亡くしてから同居している絹子伯母さんには「レギュラー」と嘘をついていた。最後の大会が終わったら進路を決めなければならない。悩む大地に十二年前に家を出た実父から突然、連絡があり…。家族、仲間、将来―迷いながら自分だけのポジションを探し出す物語。
著者等紹介
小野寺史宜[オノデラフミノリ]
1968年、千葉県生まれ。2006年「裏へ走り蹴り込め」でオール讀物新人賞、08年「ROCKER」でポプラ社小説大賞優秀賞を受賞。家族を喪い一人になった青年の姿を描く『ひと』(祥伝社四六判)が『本の雑誌』が選ぶ2018年上半期エンターテインメント・ベスト10第二位に選ばれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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読書素人本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
209
いや、参った。完全に予想外に泣かされてしまいました(しかも号泣)。ハマらない人にはハマらないかもしれませんが、自分には一ミリのズレなくハマりました。正直、サッカーには興味がなく、どちらかというとアンチ寄りだったのですが、本作を読んでキモチを改めました。タイトルにあるようにレギュラーになれない「大地」は母を亡くし、伯母と二人暮らし。そんな主人公をとりまく高校ストライクの雰囲気が懐かしくて、ほんわりとしました。ラストの描写はまさしく涙が止まらず、久しぶりに号泣させられてしまいました。『ホケツ』も大切ですよね。2019/05/31
まさきち
99
こういう小説大好きです。熱く努力を重ねるのもいいけれど、レギュラーになれなくとも腐らず、周囲を思いやり、いつしかみんなの気持ちを引き付けてまとめ上げている。読んでいてあたたかく、でも爽やかな気持ちをもらえた一冊でした。心残りは真乃が大地の気持ちにもうちょっと敏感になってくれてたらなというところでしょうか。2022/07/12
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
98
(2022-65)中学、高校とサッカー部で活動していながら一度も試合に出ることのなかった「ホケツ」の大地。自分もそうだったから、彼の感じるそうした気持ちはなんとなくわかる。もちろん試合に出場できたら楽しいとは思うけど、部活ってそれだけじゃない。友達と色々あるのも楽しい。漫画「キャプテン」のようなスポ根路線かと思ったけど、小野寺さんらしく友情や家族や進路の悩み、そういうテイストでまとめている。まあそれはそれで悪くはない。★★★2022/09/17
相田うえお
96
★★★☆☆22017【ホケツ! (小野寺史宜さん)k】両親が離婚して母親に付いた大地(サッカー部3年男子高校生)が主人公。母親は離婚後しばらくして病気で他界。伯母(母の姉、未婚)の絹子が母親代わりとなって大地と一緒に暮らし始める。大地はサッカー部の補欠なのだが伯母にはレギュラー選手であるかの様に話してしまっていた...。本作品、サッカー部の仲間やその周りの人達の心温まる関係を描いたストーリー。サッカーを基軸にしながらも、家族,友情,青春,成長,様々なおかずが盛り込まれていて単なるスポーツ小説ではなかった。2022/02/14
いたろう
77
小野寺さんの小説によく出てくる蜜葉市みつばが舞台。母親が亡くなり、叔母さんと2人暮らしをしている、みつば高校3年の大地は、熱心にサッカー部の練習に出ているが、3年になった今も、一度もレギュラーになったことがない。そんな大地は、「ホケツ」の立場に卑屈になることなく、他人にすごく気を使うことができる、よくできた高校生。12年会っていなかった父親のこと、大学受験の進路のこと、サッカー部の仲間たちとのこと、いろいろあって、まさかこんなラストが待っていたとは。電車の中で読んでいて、思わずウルウル来てしまって困った。2023/01/10