内容説明
“鬼隼人”許すまじ―怨嗟渦巻く豊後・羽根藩。新参の多聞隼人が“覚悟”を秘し、藩主・三浦兼清を名君と成すため、苛烈な改革を断行していた。そんな中、一揆を招きかねない黒菱沼干拓の命を、家老就任を条件に隼人は受諾。大庄屋の“人食い”七右衛門、学者の“大蛇”臥雲を招集、難工事に着手する。だが城中では、反隼人派の策謀が…。著者畢生の羽根藩シリーズ第三弾!
著者等紹介
葉室麟[ハムロリン]
1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒。地方紙記者などを経て、2005年、『乾山晩愁』で歴史文学賞を受賞し、文壇へ。07年、『銀漢の賦』で松本清張賞を、12年、『蜩ノ記』(祥伝社文庫)で第一四六回直木賞を、16年、『鬼神の如く』で第二〇回司馬遼太郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
112
葉室さんの豊後・羽根藩シリーズ3作目です。新参で召し抱えられた主人公が、かなり厳しい政策で藩を改革していきます。主人公もそうですが、その協力者たちもかなりの厳しさがありあだ名がすごいことになっています。藩内の陰謀による一揆などもありますがやり遂げます。ただ主人公の本当の狙いは復習にあったということですが、やや余分のような感じがしました。2024/09/30
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
101
豊後国羽根藩シリーズ第3弾。財政窮乏する藩の立て直しを図るべく新参として召し抱えられた多聞隼人。あまりに苛烈なゆえ「鬼隼人」とまで称された彼の改革。「政は善人面ではでき申さぬこの世の辛いこと、苦しいことを、あえて口にする悪人でなければ政は一歩も前には進みませぬ。」これは現代とて同じであろう。選挙の時ばかり「聞こえの良い公約」を声高に叫ぶ政治家のなんと多いことか。「大願成就」として最後にとった多聞の行動は痺れるほどであった。正に「鬼の生き様を通して正義を問う快作」である。★★★★2017/10/11
エピファネイア
99
葉室麟さんの代表作である羽根藩シリーズ3作目。1作目は言わずと知れた直木賞受賞作の「蜩の記」。本シリーズはそれぞれが独立しているので、どれから読んでも大丈夫。ただ、次作「秋霜」は本作の後日譚のようだ。本作の主人公は鬼隼人と呼ばれる孤高の武士。彼は藩の財政健全化のために痛みを伴う改革を平然と進めるので百姓たちは不満を募らせる。善政とは何か。疎ましがられても進めないといけない正義がある。「たとえおのれが苦しくても、子や孫を楽にするために生きようとなぜ思わぬ」という言葉は現在を生きる我々にも突き付けられている。2023/02/19
takaC
74
鬼隼人の生き様にはシビレたが、自分はまだ羽根藩シリーズのシリーズたる所以がくっきり理解できていない気がする。2017/11/28
ふじさん
68
藤沢周平なきあと好きな作家の一人です。硬筆な文章で最初は抵抗がありましたが、作家の描く人物に惹かれて読み続けています。この本は、葉室麟の理想とする真の武士、武士の正義とは描いています。これから新作が読めなくなるのが残念だ。 2020/01/14
-
- 和書
- 科学的に血圧を下げる方法