出版社内容情報
辻堂 魁[ツジドウカイ]
内容説明
佃島の海に男の骸があがった。役人が正視できないほどの撲殺であった。仏は石川島の人足寄場を出たばかりの無宿人と見られたが、成り変わりと判明。探索の結果、三年前に起きた未解決の妙な押しこみ事件が浮上し、ひとりの風鈴を愛する妾の関わりが疑われる―やがて、すべての真実がひもとかれたとき、北町奉行所平同心・日暮龍平の豪剣がうなりをあげた!
著者等紹介
辻堂魁[ツジドウカイ]
1948年、高知県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、出版社勤務を経て執筆業に入る。2010年に刊行された『風の市兵衛』(祥伝社文庫)が累計一一〇万部を突破。16年には、同シリーズで第五回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベルるるる
20
生きていくだけでも過酷。そんな人生を歩んでいる薄幸な二人。それでも、龍平は立ち会わねばならない。読みながら悲しくなるけど、それでも読後感はいい。このシリーズはいい、とってもいい。 2019/01/10
はかり
11
今回はなかなか筋が見えなくていらいらしたが、やはり辻堂の筆は凄い。最後には士の矜持と女の意地が見事に表現された。風景と微妙な心理を描くのが得意な作家ということを再認識した。2017/10/13
蕭白
9
このシリーズはミステリっぽいところもあるので好きです。また、普段は周囲から下に視られている主人公が、いざという時に頼りになるところも個人的には好きです。2021/04/06
ニッキー
5
市兵衞や萬に無いものが、このシリーズにはある。それは、妻と子供達だ。 悲しい物語に、温かさを与えているのは家族だ。2021/03/15
kazukitti
4
相変わらずクソヤロウの描き方が巧いw テンプレキャラではあるんだけど、描き方がいいのかな。故にストレスはたまるんだけど解放感もある、はずなんだけど、今回はクソヤロウを叩っ斬るのは主人公でないったあたりがヒネリが利いて、且つラストの悲しい爽やかさに通じてるって感じかなのな。最下層の武士の哀切感とそれ故の憎悪ではあるんだけど、ぶち撒けるはけ口が吐き出しようもなくも歪んでしまった事件というか。それに対するようにヒロインと共にいる姿がタイトルとして、季節外れの風鈴に象徴されているのがいい感じ。2020/05/28